2011年12月24日土曜日

LED

先日、進行中の日本でのプロジェクト用にLEDのライトをテストして来た。ご協力頂いたのは、日米でLEDの販売実績のあるエイテックス社(http://www.atex-jp.com/)。彼らの代理店のオフィスへお邪魔し、サンプルで色々とテストさせて頂いた。

彼らの製品の特徴は、外装でも問題なく使用出来る様、また、直線的なLEDの光を拡散する為にランプ自体をシリコンで覆っている事。




今回のプロジェクトでの使用方法を考慮し、壁とライトの位置関係をテスト。
壁に近すぎるとホットスポット(光が集中して反射してしまう場所)が出来てしまう上、部屋全体まで光が届かない。


少し離してやると、柔らかな光で部屋が満たされる。


電球をシリコンで覆っている物と剥き出しの物を比較した。右がシリコンあり、左が無し。シリコンありの方が光は柔らかくなるが、


光が拡散されすぎて、届く距離が短くなる。


赤と青の光を混ぜて、紫を作ったりして暫く遊ばせて貰った。



”サンプルを幾つか貸してもらえませんか?” と言うと、
”いいですよ、全部持っていって。” と言って下さったので、喜んで自分のオフィスへ持ち帰り、そこでまた色々とテスト。

反射させる為の角度や素材、また、LED特有の”点々”の反射をどの様に防ぐか色々と試す。


オフィスにあった模様付きのアクリル板を前に置くと、光がねじれた。


今度は少し大きめのアクリル板を近づけたり離したり。





下の写真は、以前、レストランMOMOのプロジェクト用に作った光の壁。壁一面に泡の様な3Dの模様を演出した。




今回はあまり奇抜な事はせずに、落ち着いた大人の雰囲気を上手に作り出したい。日本の工事業者は世界一施工が上手いと思うので、きっと綺麗に作ってくれるはず。

その他、ラフィーネというサロンのプロジェクトで試験的に作ったライト。このシェードをレジンで作るまでには本当に色々と試行錯誤した。(http://hirokiuchidadesignlab.blogspot.com/2009/05/curiosity.html)。

熱により変形しない様に、熱を殆ど発しないLEDライトが中に入っている。


下に吊るしたクリスタルに反射すると結構きれい。




以前作ったライト達の紹介ビデオ。




さて、今日はクリスマスイブ。昨日は朝2時まで図面を描いていたので家で1日中ボーっとしていたいが、今からラスベガスまで5時間の運転・・・。

2011年12月20日火曜日

日本でのプロジェクト

今日は、自宅で日本で進行中のプロジェクトの図面を描いていた。
LAにいると日本の建材、機器や設備などの情報が周りから入って来る上、今はネットで幾らでもリサーチが出来るので特に困る事はない。

日本と違い、アメリカでは図面が契約書なので全ての情報を書き込む。なので、極端な話、工事が始まった後は余程必要でない限りは現場に行かなくても良い事になっている。まぁ、実際は結構顔を出してしまうが。今回はどの程度まで描いたら日本での工事がスムーズに進むか、様子を見ながらやってみる予定。


サンフランシスコのSOMで働いていた時は殆ど中国のプロジェクトをしていたので、ミリメーターで図面を描く事に多少慣れているが、アメリカもヨーロッパやアジアと同じくインチをやめてミリメーター表示にしてくれれば楽なのに、といつも思う。


しかし日本のインテリアに関する規制がとてもゆるいのには驚かされた。
トイレや手洗い用のシンクの数のルール、段差に対する規制、カウンターなどの高さの規制など、身体障害者や人々の健康に対するルールがあまりに緩い。同一民族という事で、大体の常識が通り、意思の疎通が容易な故の結果だとつくづく思った。しかし、この高齢化社会の中で、大きな公共施設以外で車椅子に乗った人に対する配慮がされている所を殆ど見た事が無いのは、少々今後が気になる。

基本的に小柄な人が多いが、通路の狭さやトイレの小ささ、天井の低さには常に驚かされる。

今回日本で困ったことは、
1.頭をぶつけない様に常に気をつけているので首が痛くなる・・・
2.どこもトイレがウォシュレットで、壁の操作パネルで水を流すのに、いつもの水を流すレバーをついついタンクの横に探してしまい ”ない!ない!”とうろたえる・・・
3.アメリカと違い、スターバックスなどのカフェで誰でも無料のネットが使えないのでラップトップ片手に途方にくれる・・・

話はそれたが、明日は日本の会社がLAを拠点に展開をしているLEDライトを見せてもらい、明るさを確認して来る予定。アメリカにいながら、日本の製品を実際に確認できるのはLAならでは、という感じだ。今回使用予定のプロジェクターも、日本企業がアメリカで発表した製品を2年程前にあるプロジェクトを通して知り、それをクライアントに紹介した。

年末の休暇を目前にして、今週はかなりバタバタしている。

2011年12月15日木曜日

日本でのいろいろ-2

昨日、日本からLAに帰ってきた。特にアメリカが大好きと言う訳ではないが、やはり戻って来たらホッとした。20年も住んでいると、ここに自分の生活が出来上がっているんだなと実感させられた。

12日にクライアントにデザインのプレゼンテーションをした。自分のデザインが日本でどの様に受け入れられるのか不明だったので少々説得に時間が掛かる事を覚悟していた。が、なぜかとても好評だった為、気を良くして、横浜に帰ると直ぐに高校時代からの友人を引っ張り出し、関内から歩いて10分程の所にある野毛の飲み屋街に出かけた。

古くからある飲み屋の通り。こういう所は気取らずに気楽で、日本らしくて好きだ。


途中で見つけたある餃子屋さんの笑える看板。





ここにだけは入りたくないと思ったバー、カントリー。



え、そんな物、出していいの?と思わせられたレストラン。怖くて入れなかった。



どこに入るか迷ったが、結局 ”はしごするか!?” と言うことになり、まずは餃子の美味しい店でビールに焼き餃子と蒸し餃子を。


その後焼き鳥屋へ移動し、



最後は ”魚が食べたい!” という一言で美味しい海鮮料理店へ。ここの刺身は本当に美味しかった。



次の日はクライアントにディナーをご馳走になった。とても気さくでいつも笑顔の社長さんとは今回で会うのがまだ2回目なのにも関わらず、自然とプロジェクトが上手く行くと感じられる。笑顔の影にもビジネスが見え隠れし、ただの一般的な ”良い人” ではない。こういう女性との仕事はとても好きだ。

場所は麹町にあるエリオ(http://www.elio.co.jp/restaurant/index.html)という有名イタリアン。普段は予約が取れないほどの人気店らしく、店内はきちんとした身なりの紳士と淑女でいっぱい。賑やかな店内は、カジュアルな服装の方がよっぽど似合うと思ったがここは東京。ま、こういう感じでしょう。手打ちのパスタはとても美味しかった。人気の秘訣はその値段。普通の店と比べてもそれ程高くない。むしろこの味なら安いと思った。

その後、2次会は銀座のバーの個室へ。クライアントの社長さんと社員の方達が帰られた後も、友人の丸田氏と朝3時まで飲んだ。



チェックを貰い、

”俺が払うよ。” と言うと、
”いや、日本にいる時はいいよ。その代わり、LA行ったら豪遊するからよろしく。”

ナパまでリムジンで行くというアホな事を言い出した彼の渡米を、なんとしても阻止しなければ・・・

2011年12月12日月曜日

全員集合

先週の金曜日に、今ままで働いてくれていたアシスタントやインターンの子達と品川で忘年会をした。ここに写っているのは、最後まで辞めさせられる事無く任務をまっとうした精鋭達(と、その彼女1名)で、現在日本にいる人達。アメリカにいた時期がずれているので、初顔合わせの人達も。

皆、今は日本でそれぞれの仕事に就いている。


色々と悩んだり考えたりしながら、日本での生活を送っているらしいけど、この日はバカな事を言いながら終電前まで飲んだ。

散々手を焼かされたけど、とても賢く物覚えが物凄く早かったお姉さん役の、ちかさん。
やめる前にそっと会社のマニュアルを作って次の子達に残して行ってくれた優しい、かなえさん。
僕の間違えさえ何も言わずに直してくれ、決して人のせいにしなく、唯一僕をいじめる勇気を持つ、えりかさん。
行動力としゃべりの速さで人を圧巻し、実はとても真面目でいじられ役を演じる、ゆうすけ君。
(ゆうすけ君の彼女のみかさんには、この日色々と気を使って頂いた。ありがとう。)

色々と悩む事もあると思うけど、考えれる自分に気づけた事を幸せに思えばいいし、たまには愚痴でもこぼしにLAに戻ってくればいい。

まぁ、色々と相談に乗ったりもして来たけど、”こいつらがいたから今までやってこれたんだな”、としみじみ思った。そんな事、その場では言わなかったけど。

それと同時に、こいつらが僕の所で働いていた事を人に自慢出来たり、履歴書に色をつけれるぐらいまで、会社をもっと育てないといけないと帰りの電車で考えさせられた。

知らないうちに結局彼らに背中を押されているみたいだ。

むかつく。

2011年12月11日日曜日

日本でのいろいろ

日本に来て6日目。色々な事をしているが、プロジェクトに関連した事はコンフィデンシャルな事も多いので、ブログにはまだ書けない。

なので、関係ない下らない事を少々。

先週、グラフィックデザイン会社RISN(ライジン)のオーナーで、中学時代からの友人の丸田氏と麻布十番のフレンチレストランで食事をし、将来的なビジネスに関して知り合いの弁護士の方を紹介してもらった。その後場所を変えて、大きさで言ったら8畳程の新橋のバーに連れて行ってもらい、そこで今回のクライアントの顧問弁護士と執行役員と合流。

飲んで歌って店を出たのは夜中2時。

”ラーメン食べに行こう。”

え?今から・・・と思ったがついていった。まだ外には結構人がいて、さすが東京という感じ。
ラーメンを待っている間、ちょっとだけふっと寂しい感じがした。理由は分からない。

さて、この時間ではもちろん終電は無い。でもあと3時間もすれば始発があるし、その間だけの為に高いお金を出してホテルに泊まるのもなー、と思っていたら、カプセルホテルがあった。弁護士の先生と一緒にチェックイン。写真で見た事はあったが、泊まるのは初めて。ワクワクして中に入った。一泊3,500円。

エレベーターで上に上がると、犬などを飛行機で運ぶ時に使うケースみたいなのが積み重なっていた。”おお、写真で見た感じと一緒だ!”とちょっと感動。



中は結構広く、清潔感もある。”あれ、思ってたより居心地よさそうジャン。” タオル、歯ブラシ、寝巻き、ガウンなど、全てそろっていた。天井の高さは、背の高い僕がちょっとだけ頭を傾げれば十分座れる高さだから、平均的な身長の人なら楽々。


寝ころがると、手の届く所にTV、ラジオ、照明、換気用のファンなどのコントロールが全てあり、とても便利。


一階のロッカーに靴、カバン、スーツなどを入れておけるので多少の荷物があっても大丈夫。
結構面白かったので、これから終電が無くなったらカプセルホテルに泊まろうと思った。4時を過ぎても人がどんどん入ってきたので、結局満室になる程の盛況ぶりだった。


話は飛んで、昨日の夜に横浜の関内で友人と行き当たりばったりで小さな台湾料理屋さんに入った。関内は中国人と韓国人の数がとても多く、普通に中国語と韓国語が耳に入ってくる。

”大丈夫か、ここ・・・” と言いながら入ったが、焼き餃子、蒸し餃子、蒸し鶏、レバー炒めを注文。

”お兄ちゃん、これも美味しいから食べな”、とおまけでご飯に乗せる昆布と、ここではなぜか”コーヒー”と呼ばれている中華スープが出てきた。”もうお兄ちゃんでは決してないな・・・” と呟きながらもコーヒーをおかわりした。

味はどれもとても美味しかった。今晩もまた行きたいぐらい。値段はどれも500円前後。



最後に、今日横浜から見えた富士山。
こんなに離れていても見えるとは、さすが日本の象徴。


さて、今日はこれからデザインのミーティング。
しかし寒いな、日本は。

2011年12月7日水曜日

Japan again

12月8日、午前6時半。横浜。

4年間日本に帰国していなかったのに、この1ヶ月で2度目の帰国。LAに移ってから日本人と仕事をする事が多かったので、今回も日本にいる事にあまり違和感を感じない。

電車も随分慣れてきた。相変わらずポケットにはプリントアウトした東京の路線マップが入っていて、外で見る時は田舎者に思われない様に隠しながら見ているが・・・。



時差ぼけは続くが、昨夜は足がつらずに5時間寝れたので結構元気。もう3時間でもLAと東京が近かったら楽なのに。何はともあれ、日本は何処へ行っても安心して美味しい物が食べられるので嬉しい。

今日は午後からプロジェクトの現場視察。

2011年11月1日火曜日

銀座

さて、4年ぶりの帰国を終え、昨日ロサンゼルスに戻ってきた。

帰ってくる2日前に、銀座にオフィスを構え、グラフィックデザイン会社、
RISN(ライジン)の代表取締役、兼クリエイティブディレクターの
丸田力也氏を訪ねた。

会社のロゴは雷をモチーフに。ライジン=雷神
RISE=上昇という意味も含まれていると伺った。


名刺には堂々たる雷神が。渋い。


どこまで見せて良いのか分からないので、オフィスの1部だけ。ロフトの2階部分が彼の社長室。下の階にはカスタムメイドのデザイナー達の机が並んでいた。


作品のほんの1部。スッキリと洗練された物から、女性向けのソフトな物まで。見ていて飽きない。





ここ数ヶ月、色々と考えていた。

今年の目標の一つだった、白人社会のシカゴでもう一度挑戦する事はピーターの協力で始める事が出来た。次は国外に挑戦してみたい。日本で19年、アメリカで20年生きて来た。この次の20年は、"海外”へと手を広げてどこまで出来るかやってみたいと考えていた。

そんな折、丸田氏に出会い、彼のクライアントの一人で大変成功されている方から銀座での新たなプロジェクトのお話を頂き、日本への第一歩を踏み出せる事になった。我々から見ると、日本は"海外”。言葉は通じるが、色々と勉強させて貰う事になると思う。(プロジェクトの詳細はご本人の了解を得ていないので、また今度。)

さて、この顔の広い丸田氏とは、正確には出会ったのではなく、再会した。それも20年振りに・・・

実は彼とは中学、高校と一緒だったが卒業後疎遠で、1ヶ月ほど前にFacebookでたまたま出会い、今回の再会となった。クライアントの方も一緒に、彼の行きつけで西麻布にある高級寿司屋へ。そしてその後、静かなバーへと場所を変え、夜中過ぎまで飲んだ。昔の友人が成功しているのを見るのはとても嬉しい。



そして、これが彼の最新作。


な訳ない。


このブログを読んでいると言っていたから、後で怒られるかも・・・

初めて一人で食べに行ったラーメン屋にあった、ハイテクノロジー地震計。

2011年10月29日土曜日

上野


一昨日の事。ホテルの横のドトールコーヒーで朝食を取り、上野に向かった。
谷口吉生氏設計の、上野恩賜公園内にある法隆寺宝物館を実際に見てみたかった。


上野駅を出で直ぐに、目に飛び込んできた素晴らしい建造物に驚かされて足を止めた。
こんな素晴らしい場所があったのに、今まで帰国した時は足を運びもしなかった事を一瞬で後悔するほど。

国立西洋美術館
建物のプロポーションや材質、そして飛び出している階段部分など、コルビジェのデザインに似てるなーと思って調べたら・・・コルビジェの設計だった・・・知らなかった。


東京文化会館
コルビジェの弟子だった前川國男氏の作品。
ボリューム感と質感が素晴らしい。




立派な面持ちの東京国立博物館、本館。

庭園も素晴らしく、のんびりと散歩しているだけでも気持ちが良い。




そして、正門を入って左の奥に進むと、お目当ての建物がそこにゆっくりと現れ出した。

ここまで見えた所で、足を止めた。

”なんだ、これ・・・!!??”


”まじかっ?”


”。。。”





しだれ柳をアクセントに使い、構成された繊細な線と大胆な面
グリッドの上に作られた完璧なプロポーション
上に伸びるラインと横に広がるラインの調和

写真で見た事はあったが、ここまでとは・・・

こんな物、作れない・・・

特に建物の正面を囲う大きなひさしの奥行きは、大胆でありながもら大変優美。装飾など無いその平面は、”無” であるが故の ”存在感" をかもし出している。もしこの奥行きが1メートル浅かったら、この感覚は生まれなかったと思う。

天才・・・


インテリアはこんな感じ。



フラッシュをつけなければ、写真撮影はOK。

階段手間の入り口部分に向かうと、フレームの無いガラスの自動ドアが"ウィーン”という音と共に開く。その先はかなり暗く、透明なガラスを1枚超えただけなのに、その開く音と、明暗を分ける照明によってまるで宇宙にでも来たかの様な感覚を受けた。


繊細な線が際立つ。


奥にある資料館。


木漏れ日が階段の壁面にやさしい模様を映し出す。





正面のひさし部分に対して、後ろの建物がすこしずらされている。左右対称ではないので、そこに不思議な違和感が生まれ、色々な角度から眺めてしまう。谷口氏設計のニューヨークのMOMAは施工が非常に悪く残念な感じがしたが、こちらは完璧。

装飾ではなく、点、線、面によって構成する空間。これが我々が追い求めるインテリア・アーキテクチャー。お手本を目の当たりにした。


その後、博物館の本館に行って、さらに驚いた。
あれ、これって日本史の教科書に載っていた奴?



この源頼朝像も。

ここにあったのか。

ほかにも数多くの素晴らしい展示物があった。



外国人がよく上野に行く事は聞いていたが、何しに行くのかよく知らなかった・・・そして、その外国人と、昔よく上野公園で違法テレカを販売していた違法入国者が頭の中で混ざっており、良い印象を持っていなかったが、なるほど・・・これか。

高校卒業と同時に海外に出て、帰国しても友人と飲んでいるか、仕事で飛び回っているだけだった。建築を見に行くと言っても、最近の物を見ていただけだったので、これはとてももったいない事をした。

次回は朝から訪れて、ボーっと座りながら眺めてみたい。

関連ブログ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...