2017年2月21日火曜日

Japanese Seafood Restaurant - Arts District, Los Angeles

ロダンぜルス、ダウンタウンの中心から東に向かうと、リトル東京がある。それを過ぎると、10年前までは昼間でも足を踏み入れるのを躊躇ったが、今ではお洒落なカフェやコンドミニアムが並ぶ Arts District がある。その中心に現在新たな洒落たショッピングモールが作られているのだが、その道を挟んだ真向かいに、日本で昭和初期に開業し築地でも名をはせる、とある魚屋さんのLAオフィスがある。並びはBlue Bottle Coffeeや ZINCというこれまた洒落たレストラン。

一見倉庫の様にも見えるが、景観を壊さない様に普通の通りに普通にあるところが格好良い。



周りの建物はこの様な感じ。この雰囲気の中にオフィスや店舗が入っている。


魚屋さんのオフィスの一階部分を、レストランに改装するプロジェクトのお話を頂いた。もともと雰囲気のあるこのエリアで、コンクリートやレンガ造りの建物の中になんとなく格好の良い物を作るのはそれ程難しくない。インダストリアルっぽい雰囲気を出すのも簡単。それはBlue Bottle Coffeeも隣のZINCもやっている。上手く”日本” という事と、”漁師” という事を間接的に表現できないものか、と夜はぐっすりと眠りながら考え続ける日々。

既存の天井の上には、立派なコンクリートの梁。



この梁が、綺麗な升の目を作っていた。
綺麗だ。
綺麗だ。
綺麗だ...


壊したい・・・



二つの入口からの流れを考慮しながら、グリッドを壊すことにした。まとまった中に全く違う要素の物を落とし入れる事により、新たな調和が生まれてお互いが引き立つ。

大きく力強いマグロを扱うこのクライアント。安易な ”デコレーション” になりがちな直接的なイメージを避けながら、力強さの中に日本の伝統を持ち、ロサンゼルスのArts Districtという場所に、主張し過ぎずに存在し、そして何より、アメリカ人に訴えかける物を作りたい。



木を使って色々と試してみたが、何か大人しくて、違う。



日本特有の繊細さは、それはそれでもちろん素晴らしいしアメリカ人にも受けは良いと思う。ただ、今回は海の男、”漁師”。

そこで材木屋へ行き色々な木材を見た後、木の厚みや幅、支柱の太さなど、最初に考えていた物よりも大きな物にする事にした。また、木の間の間隔やデザインにも変更を加え、特徴のある物に。そして、予算内に収まるかは不安だったが、くぎを使わない日本の伝統、”ほぞ接ぎ” でこれを作れないかと考えた。また、奥のテーブル席の横の壁には、幅4メートル、高さ2メートル程のアートを二つ、手作りで作らせて貰う計画も立てた。





細かなところに入る前に、まずはこのレイアウトでロサンゼルス市のBuilding and Safety Department とHandicap Department , Fire Department, Planning Department, Redevelopment Departmentからそれぞれ建築許可を取るための図面の作成、と同時に保健所への提出用の図面、そしてMechanical(空調)、Electrical (電気)、Plumbing (配管) のエンジニアにそれぞれの許可を取ってもらう事に加え、構造エンジニアに外壁の一部撤去と新たなサポートの計算書を作って貰う。


と、ここまで来て、この場所が日本政府のとあるプロジェクト用に又貸しされる事が急遽決定し、レストランのプロジェクトは中止に・・・

ま、そんな時もある。頂く物は頂いて、アイデアはまた何か他の時にでも使うとしよう。

とりあえず、今晩は寿司だ。








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