2011年10月29日土曜日

上野


一昨日の事。ホテルの横のドトールコーヒーで朝食を取り、上野に向かった。
谷口吉生氏設計の、上野恩賜公園内にある法隆寺宝物館を実際に見てみたかった。


上野駅を出で直ぐに、目に飛び込んできた素晴らしい建造物に驚かされて足を止めた。
こんな素晴らしい場所があったのに、今まで帰国した時は足を運びもしなかった事を一瞬で後悔するほど。

国立西洋美術館
建物のプロポーションや材質、そして飛び出している階段部分など、コルビジェのデザインに似てるなーと思って調べたら・・・コルビジェの設計だった・・・知らなかった。


東京文化会館
コルビジェの弟子だった前川國男氏の作品。
ボリューム感と質感が素晴らしい。




立派な面持ちの東京国立博物館、本館。

庭園も素晴らしく、のんびりと散歩しているだけでも気持ちが良い。




そして、正門を入って左の奥に進むと、お目当ての建物がそこにゆっくりと現れ出した。

ここまで見えた所で、足を止めた。

”なんだ、これ・・・!!??”


”まじかっ?”


”。。。”





しだれ柳をアクセントに使い、構成された繊細な線と大胆な面
グリッドの上に作られた完璧なプロポーション
上に伸びるラインと横に広がるラインの調和

写真で見た事はあったが、ここまでとは・・・

こんな物、作れない・・・

特に建物の正面を囲う大きなひさしの奥行きは、大胆でありながもら大変優美。装飾など無いその平面は、”無” であるが故の ”存在感" をかもし出している。もしこの奥行きが1メートル浅かったら、この感覚は生まれなかったと思う。

天才・・・


インテリアはこんな感じ。



フラッシュをつけなければ、写真撮影はOK。

階段手間の入り口部分に向かうと、フレームの無いガラスの自動ドアが"ウィーン”という音と共に開く。その先はかなり暗く、透明なガラスを1枚超えただけなのに、その開く音と、明暗を分ける照明によってまるで宇宙にでも来たかの様な感覚を受けた。


繊細な線が際立つ。


奥にある資料館。


木漏れ日が階段の壁面にやさしい模様を映し出す。





正面のひさし部分に対して、後ろの建物がすこしずらされている。左右対称ではないので、そこに不思議な違和感が生まれ、色々な角度から眺めてしまう。谷口氏設計のニューヨークのMOMAは施工が非常に悪く残念な感じがしたが、こちらは完璧。

装飾ではなく、点、線、面によって構成する空間。これが我々が追い求めるインテリア・アーキテクチャー。お手本を目の当たりにした。


その後、博物館の本館に行って、さらに驚いた。
あれ、これって日本史の教科書に載っていた奴?



この源頼朝像も。

ここにあったのか。

ほかにも数多くの素晴らしい展示物があった。



外国人がよく上野に行く事は聞いていたが、何しに行くのかよく知らなかった・・・そして、その外国人と、昔よく上野公園で違法テレカを販売していた違法入国者が頭の中で混ざっており、良い印象を持っていなかったが、なるほど・・・これか。

高校卒業と同時に海外に出て、帰国しても友人と飲んでいるか、仕事で飛び回っているだけだった。建築を見に行くと言っても、最近の物を見ていただけだったので、これはとてももったいない事をした。

次回は朝から訪れて、ボーっと座りながら眺めてみたい。

2011年10月27日木曜日

横浜

昨日は午後からミーティングだったので、午前中は横浜に行ってきた。生まれは東京だが、育ったのは横浜。目に入る全ての物に愛着がある。

高校の卒業アルバムのクラス写真を撮影した赤レンガ倉庫は、今はショッピングモールになっていた。古い建物の良い再利用方法だと思う。ちょうど100年記念だそうだ。





昔の扉など、そのまま残っている物も多い。写真は撮れなかったが、サンフランシスコのフェリービルディング(LINK) をとても小さくして、日本人好みのおしゃれな感じにした様な雰囲気。レンガの色はやはりこの色が良い。重々しく暗いので、照明がとても綺麗に見える。所々天井が低く、頭をぶつけそうにはなったが



レストランが立ち並ぶエリアに崎陽軒があったので、ここでランチにした。ここのシュウマイは言わずと知れてめちゃくちゃ旨い。


ワンタンメンとシュウマイ2個で確か800円位だった気がする。


60年前は、"シウマイ娘”が横浜駅のホームで売り歩いていたらしい。

その後は桜木町の駅に向かって歩いた。こんなに歩いたのは久しぶりで、歩きながら足がつりそうになった・・・
最近オープンしたカップヌードルMuseum。そこまで興味は無かったので入らなかったが、ロゴも中身もモダンな感じ。サマーズの番組で見た気がする。





随分ペンキの色が褪せたジェットコースター。この観覧車は乗った事があるとは思うが、正直覚えていない・・・




実はこの前に祖父母の墓参りに行ったていた。祖父が他界したのは27年前の12月。時間は10時04分。お墓について掃除をするために腕まくりをし、時計をはずした。小学生の時に祖父にもらったSEIKO。

数ヶ月前に修理に出しに行った際、一緒に修理に出したもう一つの時計と全く止まった時間が同じだった。

そして、腕から外したその時計が指していた時間がこれ。


墓参りに来たから喜んでくれているのかな、と勝手に思うことにした。
何もかも見透かされている様で、ちょっとため息をついたら弱音が口から溢れて来そうになったので、掃除をして手を合わせてそこを後にした。

夜は10時から、以前インターンをしてくれていて、今は東京で働いているYusuke君と品川のバーに。色々と悩む彼に、僕がしてあげれる事は自分の経験を話すだけ。その他の情報は、僕でなくても彼に伝えられるので、勝手に自分で探すべきだと思った。

真面目な彼に、簡単な事だけれど、殆どの人が忘れてしまう事を一つだけ念を押して伝えたかった。

"俺の意見も含めて、皆メディアだからね。メディアは、聞く方に選ぶ権利があるんだよ。それを吸収した後に自分で考えて答えを出して、初めて -自分の意見- と呼べるんじゃん。何でも鵜呑みにすると、もし上手くいかなかった時に人のせいにするかも知れない。それは -無責任- と呼ばれるもの。”

昼間に横浜に行っていたので、20年前に日本を離れた時の決意とかを思い出していた。Yusuke君とは午前1時まで飲んで別れた。説教くさくなっていなければ良いけど。

2011年10月23日日曜日

4年振りに

朝2時半に起きて出掛ける準備をしてオフィスに着いたのが3時半。4時にオフィスを出て空港の側のパーキングに車を止め、チェックインを済ませてゲートへ。

しかし、自由な寝方だな・・・

11時間後に突いた場所は、



4年振りの日本。

関空に着いて暖かさと湿気の多さに驚いた。ゲートから出国手続きまでモノレールで移動する際、ぎゅうぎゅうに押して乗ってくる日本人に目の前のアメリカ人たちが驚いていた。
"First experience in Japan, huh. (日本での最初の経験だね)” と言って、これが普通だと教えてあげた。



日本についてここ数時間で思ったこと。

トイレが小さい。これでは車椅子の人は大変。
自動ドアがとても静かでゆっくり。
室内でタバコが吸える。
コンビ二の店員が丁寧すぎてちょっと気持ち悪い。

仕事関係の人にご飯に連れて行ってもらった。



味はそこそこだったかな。味噌をつけて食べる生野菜が美味しかった。初めてナスや山芋を生で食べた。ビールのグラスは小さかったな。でも上品で良い。




コンビにでIKEAのカタログが売られていたのには驚いた。アメリカでは無料で配っているのに。



飛行機で一睡も出来なかったので、もうかれこれ30時間以上起きてるな。アルコールも入ったので、もう寝ないと。こんな感じのが10日間続く予定。日本で働く皆さん、お疲れ様です。

2011年10月14日金曜日

Haworth Collection - ヘイワース・コレクション

昨日はHaworth (ヘイワース, WWW.HAWORTH.COM )の新たなラインの発表会に招待されたので行って来た。

今回の発表は、ヘイワースがイタリアの家具会社のcappellini(カッペリーニ), Cassina(カッシ-ナ), CASTELLI(カステリ), Poltrona Frau(ポルトローナ・フラウ)のラインを販売し始めると言うもので、基本的にLAのヘイワースの社員と、そのライセンスを持つ家具ディーラー向けで、その中に招待されたデザイナーがちらほら、という感じだった。


食事が出たので助かったが、会場の明るさや展示家具の量などはいまいち。完全にデザイナー向けの発表会だったら、これでは受けは悪いだろう。




写真は悪いが、この椅子は綺麗だった。シンプルなだけではなく、微妙なアームレストのカーブなど、飽きないデザインには必ず熟考されたプロポーションやディテールがある。似た物が出回っても、本物と大きな差が出てしまうのはそういうところ。


暗くて写真には写っていないが、足が綺麗なソファー。


縫い目のクロスもかわいかった。


日本のデザイナー、NENDOのRibbonもあったが、置いてあるのは会場の外・・・ 地面との接地点にクリアーのプラスチックがついているのだが、無い方が格好良いと思った。



一番目に付いたのは、入り口正面に置いてあったマーセル・ワンダースのTulip(チューリップ)。


かなり背もたれが高いが、重い感じはしない。


中に座ると周囲の音がかなり遮断されるので、プライベートな空間が生まれる。しかし、なぜ発表会にこのスタンダードな仕様の物を・・・赤とかあるのに。ベースも塗装されたスティールだし。




帰りに配られたカタログとまな板。
まな板・・・・?


昔Gary Lee Partnersで一緒に働いていて、今はヘイワースでデザイナーをしている知人に10年振りに会えたのと、デザートのテーブルに置いてあった小さなチョコレートケーキが美味しかったので、まぁ、よかった。

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