2012年10月15日月曜日

Portola Coffee Lab

最近, 日常のアップデートはFacebookにしてしまうので、ブログの更新が滞ってしまう。

今日は、家から車で15分程の所にある洒落たコーヒー屋さんを紹介。Portola Coffee Lab (http://www.portolacoffeelab.com/)と呼ばれるこのコーヒー屋は、家具のショールームを中心としたモールの中にあった。そこは以前はとても閑散としていて、存在すら知らない人が多かったと思う。少し前に大きくお洒落な看板を高速道路側に並べてアピールしたのが効したのか、2年振りに行った今日は駐車スペースを見つけるのが大変なぐらい。

下の写真はこのコーヒー屋 がある建物の中。南カリフォルニアの広い空やリラックスした環境にこういうラフな空間は大変マッチする。東京でこれをやると、ビル街の真ん中にどこか無理矢理こういう空間をビジネス的に作った感じがかもし出され過ぎてしまい、操られている感じがするだろう。全てが商業的で、ローカルの人が日曜日の昼下がりをのんびり楽しむ為に来る場所としては捕らえられない。


味のあるワイン屋さん、チーズ屋さん、洒落た小さなブティックなどが、中心のオープンエリアを囲んでいてとても居心地が良い。




コーヒー屋さんの看板。


コーヒーの種類を選んだら、3種類ある入れ方から好きな物を選ぶ。キリマンジャロのサイフォンを選んでみた。



ペーストリーも充実。


まるで理科室の様に並ぶ器材。


器材から判断するに、UCC Americaを通して購入しているのか、又はビジネス的に絡んでいる気がした。UCC Amerikc (http://www.ucc-america.com/brewingequipment.php)

このヒカリ サイフォン、最高。家でサイフォンを使うと、アルコールランプなのでとても時間が掛かる上に、すすだらけになってしまうので洗うのが結構大変。ヒカリ サイフォンは、とても強い電球の熱を利用して2-3分で水を沸騰させてしまう上に、火を使っていないのですすが全く付かない。


カップに全て入れてしまうと冷めてしまう為、保温の効いた小さなボトルに入れてくれる。素晴らしい。



コーヒーの豆は、その場で炒っている。



ネットもフリーで使える。最近は週の2日位はカフェで仕事をしているが、来週からは今までのカフェともお別れ。オフィスまでは車で1時間。このPortola Coffee Labまでは15分。美味しいコーヒーとお洒落な空間。この分だと、このCoffee Lab がDesign Labのオフィスに・・・!?








2012年9月16日日曜日

Fluorescent Lighting Installation - 蛍光灯設置

8週間待ちで最後の器具がやっと入り、今後LA近郊で展開が予定されているファーストフードのカレー屋さん、Supper Curryがほぼ完成。9月26日のグランドオープニングに向けて、最後のタッチアップをしている。

日差しの強いカリフォルニアでは、ガラスの中にフィルムの入ったLow E Glass と言う、黒っぽいガラスがよく用いられている。このガラスは、夜は中が明るいので外からでも店内が見えるが、日の角度によって、昼間に全く店内が見えなくなる事がよくある。

今回のこのプロジェクトでは、天上と床に暗い色を使用し、さらに外から見た際にバックグラウンドとなり得る白い壁も無い為、暗いガラスを通すと中が見えにくい時間帯がある。そこで、店内をもっと明るくする為に照明器具を増やす事にした。

一番簡単で、コストも安く設置も楽な物は、2X4 (ツー・バイ・フォー)と呼ばれる、2フィートx 4フィートの蛍光灯を天井のグリッドの上に乗せる方法だか、これはレストランでは格好悪いので出来る限り避けたかった。下の写真が2X4。


トラックライトは悪くは無いが、部分的に照明があたる為、今回求めている様な店内全体を明るくしてくれる効果は期待できない。



丸い蛍光灯をランダムに天井に取り付ける事も考えたが、これも光が弱い上に半透明のアクリルのカバーにより、光が分散されすぎてしまう。



コスト、設置方法、デザインを色々考えた後、今回はこの4フィート(約1m 20cm) の裸の蛍光灯を使用する方法でクライアントから承認を得た。


日本人業者で唯一信頼しているAKPRO CONSTRUCTIONオーナーの若松さんと、日曜日の午後3時から取り付け開始。

この店のビジネスコンセプトは、アメリカ人向けのカレーのファーストフード。 で、ロゴはアメリカ人の大好きな ”忍者”。そこで、デザイン的に思い描いていたのは、蛍光灯の線を立体的に使って、漫画によく出て来る刀を振った時の線を表現すること。

蛍光灯は、Day Light 呼ばれる、晴天の正午の日光の明るさと似ている明るさの物を選択。蛍光灯には色々な明るさがあり、3000K(ケルビン)などの数字の小さい物ほど暖色になる。Day Lightは、5,000-6,500K(ケルビン)程有り、とても白い光。

使用する際の注意点は、淡い色などは白い光にやられて真っ白になってしまう為、はっきりとした色合いの多い空間での使用がお勧め。

また、壁のペイントにオイルが多く含まれているセミ・グロスやハイ・グロスなどを使用した場合は、光の反射がきついので壁にホットスポット(光が集中して当たっている場所)が出来易く、店内が安っぽく見えてしまうので、壁から光源を遠ざける方が良い。


 一本一本の蛍光灯をフレックスと呼ばれるワイアー入りの金属のチューブで繋いでから鎖を付け、天井のグリッドから吊り下げる。角度や高さなどを二人で確認しながら、一つ一つ取り付けて行った。



正直なところ、天井がうるさくなりすぎるので扇風機をはずしたかったが、既存の物だったので今回はノータッチ。



全部の設置に6時間半も掛かってしまったが、店内は見違えるほど明るくなった。居抜きの場所の改装だった為色々と制限はあったが、取り合えずこの第1号店で諸々試す事が出来たので、次の店は一歩進んだ物になる事を期待している。

2012年8月10日金曜日

昭和の建物

日本を訪れる度に、素敵な昭和の建物を目にする。

この前日本で見た幾つかを紹介。

まずは銀座にある、2007年に亡くなられた黒川紀章氏作の中銀カプセルタワー(竣工1972年)。一つ一つがカプセルルームになっている。お互いのブロックは実際には重なり合ってはいない。それぞれが孤立した形で、中心のコアからキャンティレバー(片持ち梁)になっている。シカゴで建築を勉強していた時にもたまに授業で取り上げられていたのを覚えている。建築的にも面白いが、アメリカ人には ”カプセルに住む” という考え方が衝撃的らしい。ただ、検索して画像を見る限り、中は未来的で快適にすら見える(Google 画像リンク)。ここはホテルではなく、集合住宅。ビジネス上のセカンドハウスなどとして利用される事がおおかったそう。老朽化やアスベストの問題などで、既に取り壊しが決まっているのが残念。




次は、千代田区の竹橋駅前にあるパレスサイドビルディング。毎日新聞社系列の、株式会社毎日ビルディングが運営している。設計は日建設計で、竣工は1966年。建物自体の重さを外壁で支えない、カーテンウォールシステム。こうする事により、採光量が増え、外観にも透明感が増すので建物が軽く見える。今ではよく目にする様になったが、基は1920年代にドイツのWalter Gropius (ウォルター・グロピアス)が推し進めたスタイル。


ちょっと詳細が見えにくいが、外壁に見える縦の線は雨どいになっており、上から落ちて来る水をそれぞれの階に受け渡して行く。入り口上部の大きなキャノピーは、傘の様にも見える。縦に伸びる線を主張する白い塔と、横に伸びる線を主張する黒い箱が、とても心地よいコントラストをかもし出している。



次は、すぐ傍の北の丸公園内にある東京国立近代美術館(1952年竣工)。日本で最初の国立美術館。設計は千代田区の帝国劇場もデザインした谷口吉郎氏。窓の少ない、コンクリート造りの重々しい建物。


土曜日に行ったのだか、休館日で中に入れず・・・



この設計者のご子息が、上野の法隆寺宝物館(下の写真)やニューヨーク近代美術館新館を設計された、あの有名な谷口吉生氏。装飾ではなく、線や面のバランスだけで作り上げられた建物を見る度、設計者の感性が伺えてため息が出る。



最後に、今回泊まったホテルから見えた昭和の象徴、1958年竣工の東京タワー。正式名称は日本電波塔。設計は構造学者の内藤多仲氏と日建設計。

1961年頃の東京タワー

生まれは東京だが、育ったのは横浜なので、子供の頃は 東京タワーがある所=東京 というイメージがとてもあった気がする。素直に上に伸びるシンプルで綺麗な形状。





夕暮れの東京タワー 


富士山と東京タワー 


月と東京タワー


青い東京タワー


何でも近代化して、日本ではなくても見られる様なビルが増えて行く中、昭和の香りが残る建造物は見ていてホッとする。それは多分、今よく目にする奇抜で主張が強すぎるビルや、ガラスで覆われた無機質なビルとは違い、そこに佇み、静かに落ち着いた威厳をかもし出しているからだろう。

あとは、ただの僕の年齢的な理由・・・17歳まで昭和だったからな。



最後に、品川で行った魚専門の居酒屋で、可愛いサーバーの子が出してくれた笑顔のビールとお通しの魚。


2012年7月20日金曜日

SUPER CURRY - 1号店

コンフィデンシャルなプロジェクトが多く、暫く仕事の事について書けなかったが、書ける範囲で現在かなり完成に近づいたファーストフードレストランのSUPER CURRYをちょっと。

カレーはインドやタイの物とアメリカ人に理解されている中で、日本のカレーを広めて行くビジネスモデル。対象は日本人ではなく、こっちの現地の人。

クライアントのKさんは、これから展開して行く店舗の1号店として、テストの意味も込めて既存のファーストフードの店舗を居抜きで購入。今回はコスメティックのチェンジのみ。工事期間も2週間。アメリカでは色々と検査や登録があるため、工事が終わってもすぐにはオープンできないが。

さて、このアメリカン・ダイナー的な店を、限られた時間と決められた予算で、どう料理してモダンなファーストフードにして行くか。


コストと時間をセーブする為、既存のカウンターを改造。




高級店やホテルなどはクロス貼りの所もあるが、日本とは違い、こちらではクロスを使わずにボードをそのままペイントするのが一般的。


 既存の床を剥がすと、時間とコストが掛かる上、下のコンクリートを研磨して平らにしなければならない。なので、そのまま上に敷けるビニール製のマテリアルを選択。見た目はバンブー(竹)。床業者の見積もり違いやら何やら色々あり、必要以上に走り回った。






で、2週間後、まだ完成写真ではないが、何とか建築部分は形にはなった。


メニュー用の写真やロゴ、宣伝などは、アメリカ人のマーケティング会社が担当。現地のお客さんをターゲットにしているのでその方が良い。僕はノータッチ。



完全に店が出来上がったら、完成写真は、またその時にでも。

今回の工事は、日系の工務店さんでは唯一長いお付き合いをさせて貰っているAK PRO CONSTRUCTION INC.さん。ま、工務店と喧嘩するのが僕の役目なので、今回の仕事中も冷たい態度で色々と言わせて貰ったが、社長さんはとても正直に対応してくれるので自然と付き合いが長くなり、一緒に飲みに行く事もしばしば。

勿論クライアントのビジネスを成功させる事を念頭にインテリアデザインをするのだが、その中でも個性的なデザインに拘った方が良い物と、そうでない物がある。今回は後者。どちらにしても、ある程度のディレクションやイメージ以外は、”お任せ” にしてもらうと全体のコーディネーションが取り易く、完成度も高くなる。雰囲気をつかむのに、ロゴのデザインを見せて貰う事をいつもするのだが、今回はかなり頭を悩ませた・・・。

ただ、実際にビジネスが成功するかどうかという事に関しては責任が持てないので、途中で色々と注文が付いたりおかしな変更があると、忠告はするが最終的にはクライアントの意見を取り入れざるを得なくなる。で、完成するとおかしな物が出来上がり、後々後悔されるクライアントも珍しくない。なので、最近はプロジェクトを受ける前に、最初からこの話を正直にする様にしている。

このSUPER CURRYに対しては、”モダンなファーストフードで、アメリカ人対象で、ロゴはこれね。” という位しか最初言われなかったので、逆に

”すいません、もう少し情報を・・・”

と、こちらからお願いしたぐらいだった。

2012年7月7日土曜日

Lighting Design

もっと頻繁に更新しなければ、と思いながら昔作った物を眺めていたらライティングがあったので、ちょっと紹介。なんか、前にも書いた様な気がしないでもないけど...。

Mushi-Mushi と名づけたこのライトは、シュウマイなどを蒸す時に鍋の中にセットする蒸し器をランプの傘として使用した物。こんな蒸し器は子供の頃から家にあったけど、よく見て見るととても興味深い。一つの羽を開くと、他の物が皆一緒に開く。一つを閉じると皆一緒に閉じる。よく出来ていると思う。

これの直径60cm位の物を作って、ライトを入れて床に置ける様にしたら絶対面白いと思う。色を付けて、天井から花の様に吊るしたりしても良いし。





これは、LEDの小さな電球を一つずつストローに取り付けた物。LEDの直線的な光を出す性質も助けて、ストローの中を通って真っ直ぐに光が出てくる。



ストローの曲がる箇所を曲げてやると、そこで光がトラップされるので、光を止める事も出来る。ゆっくりと点滅する様に最初からプログラムされたLEDを使用したので、見ていて飽きない。


ストローに入る位の小さな豆球だけど、光は天井まで一直線に届いて、天井に丸い模様を作りす。これを長方形の植木鉢に何メートルもびっしりと敷き詰めて、上の部分を波の様に刈り込んで電気を付けたら面白いと思う。



子供の頃から工作が好きだったので、こういう物を作っている時はとても楽しい。ハイテクな物や専門的な物はその道のプロに任せておけば良い。身近な物を使ってアイデアで遊ぶ方が好きだ。

その他のライトはYOUTUBEで(http://youtu.be/cFwx8obLS9M)。 

2012年6月30日土曜日

TOKYO, JAPAN

一昨日、3泊5日の日本出張から帰ってきた。ここ最近よく日本を訪れているので、旅行も日本滞在も随分慣れてきた。

着いたその日は、去年からデザインを担当させて頂き、3月に銀座にオープンしたHOT STUDIO ALL5( www.hotstudio-all5.com )のオーナーの志村さん、執行役員の橋本さんと会食をさせて頂き、夜中前にホテルに戻った。いつもの通り、1時間程眠ったところで目が覚めてしまい、ベッドの上で面白くもないTVを見ながら暫くボーっとしていた。


カーテンを開けると、外が勝手に明るくなり出していた。時計を見ると午前4時。”俺は魚屋か?” と思って、思い出した。確か築地は銀座から近いはず。Google Mapで確認すると、歩いて10分ぐらいだったのでシャワーを浴びて出発。


ドラム缶の様なハンドルを付けた業者のカートが物凄い勢いで行き来していた。活気と歴史が感じられ、 外国人観光客が見学に来るのも頷ける。



こういう路地は日本らしくて良い。


どこからどう見ても観光客だった。暫く歩き回ってから、朝食を。下の写真はかなり色々乗っている様に見えるが、実は上手に下のご飯が隠されているだけで、ちょっと残念な物だった。これで1000円は、デフレ状態の今の日本では決して安くない。


 朝6時前にホテルに戻って、午後のミーティング前に無理やり少しでも眠っておこうと思いコンビ二でビールを買い、朝から飲酒。しかし、全く眠くならず、ただの酔っ払い損で終わった。



窓の外を見ると、ビルの上に日の丸。


この日は午後4時からのミーティングの後、次の日の朝3時までRISN (http://www.facebook.com/RISNN )の丸田氏と飲んだ。3時間程寝て、カーテンを開けると快晴。急に元気になり、シャワーを浴びて恵比寿にある東京写真美術館へ。



ここにも日の丸が。写真下部のビルにも日の丸が。日の丸自動車学校と言うらしい。


今回は日本の旗が見れて嬉しかった。どこの国に行っても、誇らしげ気に国旗が掲げられている。政府機関ビルなどに掲げられている物ではなく、公共の場になびくそれらは、その国の象徴と言うよりは、国民が ”ここが自分の国だ!” という事に誇りを持ち、喜んでいる様に見え、傍から見ていて格好良くすら思える。

最近、海外に留学する人が減っていると何かで見た。理由は、

”別に海外に行かなくても、日本の中で十分。何でもあるし。” 
”わざわざ海外に行って苦労する必要ないし。”

その通りだと思う。日本を訪れる度に溢れかえる物の多さに驚かされる。そして、一般のビジネスは、この小さな島国の中で、日本人だけを相手にしながらでも需要と供給が成り立って来た。(今後はそれも変わって行くとは思うが)凄い事だと思う。ただ、傍から見ていると日本にいる人は、この国に生まれた事に誇りを感じる機会が少ないと思う。

今の時代、海外に出るという事は外から何かを日本に持ち帰る、という事ではない。必要なのは、外から日本を眺めて再認識し、自分の立場や自分の生まれた国を意識する事だと思う。そうして再認識した物が、肯定的でも否定的でも問題はない。それが自分の意見なのだから。

前回日本を訪れた際、銀座のあるデパートの外壁を埋め尽くす程の大きな垂れ幕広告に、" PRADA & LG ” と書かれた、プラダが韓国企業のLGと組んで発表した新しい携帯電話の宣伝を見て、その前で唖然として立ち尽くしてしまった。

”LG?東京の銀座にこんな巨大な広告で?誰も何とも思わないのか?”

別に韓国企業が日本に入って来ている事や、韓国製品を買うのが悪いという事ではない。彼らのビジネスに対するアグレッシブさは実際物凄い。ただ、日本企業はこんなに大きな広告を銀座のど真ん中に掲げられているのを見て、何とも思わないのか?これを見た日本の人は平気でいられるのか?よくこのデパートは、こんな広告で外壁を覆う事を許したな!、と思ってしまい、腹立たしさを感じた。

もしこれが、PRADA & SONYだったら、どれほど格好良かっただろう。


クライアントの会議室から見た東京。


本当に隙間が無いな。






そして、また夜が明けた。



10時間程地面から足を離し、アメリカに戻る度にちょっとホッとする。それはもしかすると、アメリカにいると、自分のアイデンティティーがはっきりするからなのかも知れない。日本で生まれて、日本語が話せ、日本の文化を重んじながらこの国に住んでいると、勿論周りの人達とは違い、”自分” という物が周囲と区別も理解もし易い。



最後に、一つ増えたお気に入りグッズ。贈り物として頂いた、銀座にある画材屋さん月光壮のスケッチセット。