2008年9月18日木曜日

ホリプロ オープニングパーティー

昨夜はHoripro Entertainment Group, Inc. と Horipro Music Academyのオープニングパーティーに招かれたので参加させて頂いた。約半年前は古いコメディーシアターだった2階建ての建物の中身を、1階は100%、2階は50%を取り壊し、1階はミュージックスクールやシアター、2階はコーポレートオフィスという構成になっている。最初現場を訪れた時は、さて、どこからデザインして行こうかと頭を悩ませたのを覚えている。


パーティーは、グラミー賞を取った音響エンジニアや映像、音楽関係者、メディアなど大勢の人で賑わった。ホリプロが現在売り出し中のアーティスト達の演奏もあり、さすがエンターテインメント企業という顔ぶれ。


株式会社ホリプロの代表取締役副会長、堀一貴氏と。

オーストラリア出身の21歳のシンガーソングライター、クロエ・レイトン(http://www.myspace.com/chloeleighton)も歌を披露した。彼女の演奏は、以前デザインミーティングの後に ”ご一緒にどうですか?”とお誘いを受け聞かせて頂いていた。 その時彼女の演奏を聞く為にその部屋にいた顔ぶれとは・・・

ホリプロ・エンターテインメントグループ、シニアーバイスプレジデントの山本氏、
大洋音楽、代表取締役社長の水上氏、
クロエのマネージャー、
そして・・・インテリアデザイナーの僕・・・

さて、音楽は好きだが、高校時代、バンドでエレキギターをやっていたぐらいで、まったくの素人の僕がこの様な顔ぶれの中でどうしたものか・・・と・・・少々悩んだ。

皆が英語でなにやらやり取りした後、彼女がキーボードの前に座り、部屋中にゆったりとしたピアノの音が流れ出した。前奏が終わり歌い出した彼女の声は、口から出されていると言うよりは体中からかもし出されていると言った方が相応しく、僕を含めた4人の観客の目を順番に一人ひとり見つめ、微笑みながら歌い続けた。

英語の歌の為、全ての歌詞やニュアンスを理解できた訳では無かったが、その必要が無いようにさえ感じられた。一人ひとりに伝えるように歌う仕草を受け、僕の耳は掃除機のように彼女のメロディーを吸い込み始めた。簡単に言うと、彼女と彼女の歌が作り出したその場の雰囲気に、完全に飲み込まれていた。 そして、歌が終ると、誰よりも先に

”音楽に対しては素人ですが、彼女の語りかける様な姿勢と、作り出す雰囲気に感嘆しました。”

と述べた。

半分は本当にそう思ったから。残りの半分は、黙っていたらそれこそ完全に部外者感が増すから頑張って・・・。


昔スペインのとても小さな劇場でフラメンコを見た事があった。その時痛烈に感じた事がある。

”なぜ音楽や踊りはいとも簡単に人の心に届き、その場の雰囲気を一瞬にして作り出す力を持っているのだろうか。それに比べてインテリアデザインや建築にはそこまでのパワーを現すのが難しい。”

涙が出るほど切なくなったり、落ち込んでいる時に勇気付けられたり、体が勝手に動き出す程楽しくなったり、と音楽には物凄い力がある。

その時僕が自分のデザイナー人生のゴールとしてたどり着きたいと思ったのは、直接的なイメージ(映像や装飾)無しで、訪れた人に涙を流させる場所を作ることだった。楽しいイメージを与えるのはそれ程難しくないが、嬉し涙でも、悲し涙でも、その場に踏み入っただけでそれを流させるのは至難の業だと思う。

人の心に響くスペースを作りたい。が、まずは、それを欲してくれる、または理解してくれるクライアントに巡り合えるかどうかも重要。

最後に、前出のホリプロの山本氏が ”近いうちに打ち上げをやりましょう。” と言って下さった。通常はこのオープニングパーティーに呼ばれて終了なのに、 この方は、本当に周りの人を大切にする人でしばしば感心させられてしまう。

Hiroki

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