2008年7月30日水曜日

MoMo Final Photos

通常、プロジェクトの完成時にはレコードとしてきちんとした写真を撮る。
MOMOが完成したので、この前の日曜日に夜暗くなるのを待って写真撮影をした。

壁の魚のアートは全てオーナーの奥様の手作り。このお店のコンセプトは、全てこのユニークな魚たちがベースになっている。FullertonというLAの郊外の古き良き町のダウンタウンに、格好を付けすぎないクールで幻想的なレストランを作ると言う事に試行錯誤した。正式名称は23年前にFullertonの以前の店に付けられた”Fun Sushi MoMo". あちこち見渡したくなる楽しいレストランを作りたかったが、デザイン前の現場検証の時点で、やりすぎると敬遠される風潮をこの町では感じた。
長い間隠されていた1930年代のレンガの壁が蘇り、その上を魚たちが泳ぐ。
青いライティングデザインで深みを与えられた既存の壁。この光は見る角度によって見え方が違う。

竹で囲まれたラウンジでは、ゆっくりと流れる時間を感じ、くつろぎながら食事ができる。

オーナーも、僕等も普通の寿司屋を最初から望んではいなかった。ちょっと分かり易いデザインをすると、
”それじゃ、良いこちゃんになりすぎない?未完成っぽさが味があって良いのよね。”
これがオーナーの奥様がよく口にされた言葉。ユニークさを常に求める我々にとっては、とてもやる気の出るコメントだった。

最近、韓国人が和食レストランを買い占め、寿司カウンターの向こう側から”えらっしゃい”と声を掛けてくる。アメリカ人がこの先日本の文化を間違って理解して行くことが大変懸念される。Helath Department(保健所)の人が ”珍しく日本人経営のお寿司やさんね”と喜んでいた。

残りの写真は下記ウェブサイトに掲載

2008年7月22日火曜日

夕方とマグリットとロジャー・ブラウン


今は午後7時30分。この時間になるとLAの空気中のちりが西日に照らされて、その日の汚れ具合が目に見える。今日も車で15分程しか離れていない目の前の山がかすんでいる。

窓際に飾ってあるのは昔から好きなマグリットのポストカード。彼の物の見方はとても面白い。日常の物を違う観点から見ている。固定観念を排除して物を見ている。パイプの絵を見せながら”これはパイプではありません”とその下に書く。

もう一人とても好きなアーティストがいる。年代は違うが、ウォールト・ディズニー(1901-1966)と同様、僕の学校の先輩にあたる人でロジャー・ブラウン(1941-1997)という画家。彼の絵にはシカゴの町並みが描かれている物が多い。そのビルの窓の中一つ一つに、人がシルエットで絵描かれている。

怒っている人、泣いている人、手をつないでいる人、踊っている人。
そのシルエットを見て、

”なんであの女の人は怒っているんだろう?きっと彼氏の浮気が発覚したにちがいない!”

”この二人の人は握手をしている。きっと一人の女の子を取り合って、最終的にどちらが手を引くか決まって和解したんだな・・・。”

など、色々と想像させられる。
一つの絵の中に、無数のドラマがある。そして、それが”街”の姿だと彼は知っていた。


見る人に色々考えさせたり、何かを感じさせる物が好きだ。



昔こんな絵をよく自分で描いた。


大学3年の時にパリで3ヶ月間建築を勉強した時があった。友達がいた訳ではないので、アパートの中などを見る機会が余りなかったが、観光地より、一般の人の生活が見たかった。そこで、よく夜散歩をした。夜散歩をすると、部屋の灯かりが付いているので家の中が見える(注:覗きをしたかった訳ではない)。人々の生活がほんの少しだけ見えて、その街の普段の流れが伝わって来た(注:覗きと行為はているが、目的が違う)。

そうこうしているうちに、窓の外の色は変わっていた。

Hiroki


2008年7月19日土曜日

コラボレーション

この仕事をしていると色々な業種の方々と知り合う機会があって面白い。仕事上で知り合う方だけでなく、学生さんや主婦の方などとも自由にもっと繋がれたり情報交換出来たら面白いと思っている。

今学生の間で流行っている物や、主婦の皆さんの間で騒がれている物事、こんなお店があったら良いのにとか、インテリアデザインに対して普段から疑問に思われている事など、どんな事でも気軽にメールを頂けると面白い輪が作れそうに思う。

また、このブログを見て下さっている方から、インテリアデザインやインテリアデコレーション、オフィスレイアウトや家の改装などを必要とされている方の情報を頂き、契約成立時には紹介料をお支払いする。これだけでもお互いの良いビジネスになる。

それ以外にもミュージシャン、アクターやアクトレス、画家や彫刻家、映像関係者とのコラボレーションや、マーケティング会社との連携なども出来ると、常日頃うちが求めている既存の「インテリアデザイン」の壁を取り壊す結果に繋がる事が出来ると思っている。

そうする事で、今まで我々が経験してきた事を色々と応用したり、他業種の方々と新たなビジネスの形を考案できると信じている。

シカゴで通った大学(アートスクール)に4Dというクラスがあった。2Dでもなく、3Dでもない。定義のない4D。そのクラスは全ての学部(ペインティング、彫刻、グラフィックデザイン、セラミック、インテリア・アーキテクチャー、フォトグラフ、ビデオなどなど)の必須科目で、それらの人たちとグループになり一緒に課題をする。一つの題材に対し、皆自分の分野からアイデアを持ち寄るので数々のメディアが混ざり合い、完成したものに囲いが無く、とても自由で、深みがあった。

ビジネスをされている方、されていない方、アメリカにいる方、日本にいる方、その他の国にいる方とこの様に混ざり合って行けたら、もっと面白い物が生まれると期待している。そして、皆さんにも何かをクリエイトすると言う事に参加して頂きたい。

どうぞ、お気軽に下記にメールください。
info@hirokiuchidadesignlab.com

Hiroki

2008年7月14日月曜日

Blogの写真を変えました

このBlog「Lighting The Hidden Emotion」のTop写真を変えました。

なぜかというと前回載せていた時の写真を見てもらってわかると思いますが
新しいメンバーが増えたからです。

今朝Officeでこの写真をみんなで撮りました。
前回同様、今回もどういった配置で撮るか、
灯りは暗いほうがいいか明るいほうがいいかなどの
意見を言いながら撮影しました。

Photoshopでの写真の加工もそうですが、
一つの写真に対しても色々と意見を言ったり
こだわって編集をしたりすることはとても楽しいと思います。

あらためてこの事務所のものつくりの楽しさ、
こだわりをDesign Labを通して感じました。

Kosuke

2008年7月13日日曜日

久しぶりに

Desing Labのメンバーの一人のKosukeです。

しばらくロサンゼルスにいなかったので僕が日記の更新をすることがありませんでした。

ただ内田さんの日記を読んでいたら自分のいない間に色々なことがあったんだなと感じました。

特に71日のMomoさんのオープニングにはとても行きたかったです。

写真を見るとかなり多くの人が来ていてあらためて多くの人に愛されているお店なのだなと感じました。

内田さんの日記にも書いてありましたが、僕が以前Momoさんにお伺いした際も、道を歩いている人が「いつオープンするんだい?」という話をしていていました。

まだ完成したMomoさんを見に行っていないのでぜひ今度お伺いしようと思います。とても楽しみです。

Fun Sushi Momo
714-525-8974
208 North Harbor Blvd. Fullerton California 92832

Kosuke

2008年7月7日月曜日

夜のオフィス


今は夜の9時5分前。特に仕事をしている訳ではないけど、誰もいないオフィスにまだいる。


この時間は結構好きだ。電話はもちろん、メールも来ないので、一人でゆっくりと雑誌を見たり、音楽を聴いたり出来る。目の前にはハリウッドの山があり、その上の方についている灯りを見ながら

”一体何をやったらあんな所に住む事が出来るんだ?”と考えたりもする。

10年前にもらったカプチーノ・マシーンでカプチーノを作った。牛乳が無いのでいつも業務用の小さなコーヒークリーム(マクドナルドのコーヒーについて来る様なやつ)を3個ほどカップに開け、泡を立てる。

このしがらみの無い時間に、デザインをしたりもする。
デザインを事務的にこなさなければいけない時は、殆ど頭で考えている。
良いデザインが出来るときは、勝手にワクワクしだし、気分が乗って紙の上で勝手に手が動く。

気持ちで考えている。

この前、新人のYusuke君に「”気持ちで考える”って面白いですね。」と言われた。言われてみて確かにそうだと思った。考えないのが気持ちなのに。

さっきから会議室のキャビネットの上に飾ってあるワインがとても気になるが、最近毎日飲んでいるのでやめておこう。探し回ってやっと見つけた黒いワイングラスも、未だ活躍の場を与えられていない。放って置くとKo-ちゃん(Kosuke)に勝手に使われそうで怖い。

今日、MOMOさんのオーナーの鈴木さんから電話があった。毎日開店と同時に満席だそうだ。景気の良い話だけど、実際はとても大変に違いない。従業員が慣れるまでには時間が必要だから、最初はゆっくりの方が皆慣れやすいだろう。メニューを変更するらしく、デザインを頼まれた。


さて、そろそろ帰ろうかな。

ここには自分の好きな物(コンピューター、雑誌、がらくた等)が沢山あるから離れづらい。


5時ぐらいにTomoeさんからもらった小さなパンのお陰で、あまりお腹は空いていない。


Hiroki

2008年7月2日水曜日

Fun Sushi MoMo OPEN

2008年7月1日、日本食レストラン、MOMOがオープンした。招待客350名がオープン前から行列を作り、午後6時の開店を待ちわびた。日系人の少ないFullerton市のダウンタウンに位置している為、お客さんは皆アメリカ人。前を通る車からはクラクションと共に”MOMO~!!!!”と歓声が上がる。
23年前にこの町に誕生したFun Sushi MoMoは多くの人に愛され、約1年前に移転の為一旦幕を閉じ、今、新たなロゴ、新たな店舗、そして、昔からの同じ従業員と新たなシェフ、ウェイター&ウェイトレスで再スタートを切った。


このレストランの23年間の歴史の重みは、招待客の歓声や ”Hey! SUZUKI!"というオーナーを指差しながら再会に大喜びする客達から溢れるほど伝わって来た。”MOMO”と”SUZUKI” はこの町に確実に根を深く生やし、約1年間の閉店中も誰一人として忘れることは無かった。



一体どれだけの人がこのレストランのオープンを待ちわびていたのか想像もつかない。工事の監修に現場を訪れる度、わざわざ車でレストランの進行状況をチェックしに来た昔なじみのお客さん達に、”いつOPENするの?もうお腹ぺこぺこだよ!”と尋ねられたり、”いつまで待たせるんだ?!”と少々不機嫌に質問されたりさえした。そして、一人帰ると、違う人が入れ替わりにやって来た。電話が繋がってからは、10分おきに電話が鳴った。

オーナーシェフの鈴木さんは大変寛大で、我々を大変信頼して下さった。奥様はアーティスト。店内の魚のオブジェはどれも彼女の手作り。サーフボードのマテリアルを買って来ては、ご自分で加工される。寿司カウンターの一段高くなった付け台の部分も手作り。石を引きつめ、エポキシーを流し見事な川を作られた。鈴木さんご夫婦の大変大きなご理解とサポートの元、個人的に試してみたかった光の使い方などを実現させて頂いた。

最近どこのレストランに行っても感動が少ない。違うのはちょっとした飾り付けと形ぐらいで、新しいアイデアや雰囲気がない。簡単に言うと、個性が無い所が多い。新しい発見も無い。

今回MOMOで一番こだわったのは、壁一面の青いライティング。立体に見える上、見る角度によって形が全く違う。もともと存在した白いドライウォールの壁に深みを与える事に成功した。このライティングは仕事の後に薄暗い会議室で色々と研究していて発見したもの。見た瞬間”これはいける!”と確信した。


昼間は天窓から日の光が差し、電気をつけなくても調度良い明るさになる。1930年代に建てられたレンガ造りのビルの特徴を殺さない様にしながら、新たな輝きを持たせる事に成功したと思う。

簡単に口では言い表せない世界観とコンセプトを、鈴木さんご夫妻と話し合いながらゆっくりと育てて行った。昨夜のオープニングに来られたお客さん達の笑顔を見て、この町に新たな光を加えることが出来、人々の集う場所を作る事によりデザイナーとして貢献できた事が何より嬉しかった。しかし、それと同時に大切に育てて来た物を手放す時でもあり、寂しさも覚えた。


最後に、このプロジェクトを成功に導くために努力を惜しまなかったコントラクター(工務店)のホワン・バーガスを筆頭としたVargus & Son's Construction Inc. の人々、そして、現在働いてくれているTomoeさんを始めとするデザイナー達と同様、完成を見る事なくビザの関係で日本に帰国せざるを得なかったデザイナーだったChikaさんとKanaeさんに”おめでとう”と”有難う”を言いたい。
Fun Sushi Momo
714-525-8974
Hiroki

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