2013年3月21日木曜日

Seventh Tea Bar

今は水曜日の朝9時。外は朝霧で、まだ日はそれ程差していない。いつもの様にオフィスに向かって高速道路を北上していた。このまま進めば、1時間ちょっとでオフィスに着いて仕事。あれやこれや必ず目に付くので、やる事は尽きない。

う~ん・・・この先、渋滞しているかも知れない。している可能性は高い。いや、絶対している!
と、無理矢理に渋滞を作り出し、ハンドルを右にきり高速道路を降りた。で、前の記事にも書いたPortola Coffee Labへ、仕事の振りをしに。

コーヒーをオーダーする列に並ぼうとすると、隣にあるSeventh Tea Barが目に入った。前から興味はあったが、値段も頼み方も分からない店はいつもちょっと入るのを躊躇する。ティーバーはアメリカで広がりつつあり、流行っている店もたまに目にする様になった。

後ろからは、いつもの美味しそうなコーヒーの香りと、カップとソーサーがぶつかり合う軽やかな音。コーヒー片手に通り過ぎる人の邪魔になりながら、入ろうか止めようかしばし棒立ちで考えたが、大好きな白いマーブルのテーブルに惹かれ取りあえず壁に貼ってあるメニューを見る為に一歩前へ。

そして、すぐに店員に捕まる・・・

メニューには、中国茶、日本茶、インド茶の色々な種類の物が書かれていたが、お金を出して日本茶を飲む気にはならない。ブラックティーの種類で ”甘め” の種類を薦められるがままにオーダーした。値段は4ドル。お茶が特別な物ではないアジア人にとっては、正直なところちょっと高い気がした。


店内の見た目はなかなか良い。黒と白の中に黄色が良いアクセントになって目をひく。昔、黒と黄色の組み合わせはちょっと気持ち悪いと思った事もあったが、悪くない。

同じ物が沢山並ぶと気持ちが良い。きちんと間隔が合っていれば、なお良かったのに。


不思議な機械。こういう物があると、何か専門的な感じがしてしまう。白い大理石のカウンターが格好良い。




白いソリッドのマーブルはやはり良い。石は、山から大きな塊で取り出された後、何メートルもあるとてつもなく大きな、グルグル回るカッティングソーでスライスされる。自然の蓄積物で構成される為、隙間や溝が出来る。その溝を、似た色の詰め物で埋めて表面を研磨するのだが、色が合っていない詰め物がされている物は安っぽく見えるので注意。



頼んだ紅茶がテーブルに届いた。紅茶通ではないので、大して違いは分からないだろう。こんな物にわざわざ4ドルも払って、と思いながら口に含むと、飲み終わった後に、苦く渋いけどスーッとした爽快な感覚が口の中から喉に広がり、花粉症と戦う鼻から抜けてきた。

フン!仕方ない。3ドルぐらいの価値は認めてやろう。


その後、店員がサンプラーを持ってテーブルにやって来た。

”プーアール茶を飲んだ事はありますか?”

プーアール茶ぐらい知っている!あのコマーシャルは好きだった。いや、まて、あれは爽健美茶だ・・・

色々と説明をしてくれた。

右:  15年間中国の洞窟でスモークされた物
中央: まだスモークの香りが残るが、なんとか、かんとか。
左:  なんとか、かんとか。

右側から飲んで行く様に2回も念を押されたので、素直に従ってみた。
感想は、




-届いてすぐ-warm - 
右: OH!確かにスモークの香り。なかなか旨い。
中央:飲み終わった後にスモークの後味が。ちょと渋いけどまぁ飲める。
左: キツメの渋みの後に、少し甘さの様な感覚が追いかけてくる。


-10分後- cold -
右: ...スモークハムをお湯につけて飲んでるみたい・・・
中央:...7年前に他界した、祖母の家にあったタンスの匂い
左: ...すいません、これ、さげて貰えませんか?



折角デザイナーがデザインしても、そこで働く従業員が全体のブランドイメージを理解してくれていないと、”あ~あ”、という感じになり、全てのバランスが崩れ出す。

例えば、レジ後ろのお茶の缶。ラベルの向きも缶の間隔もめちゃくちゃ。このせいで、全てのイメージが台無し。カウンターの上に物を色々と置きすぎで、自然と雑多な印象も受ける。




一つこういう物が見え出すと、次々に気になる点が見えて来て、仕舞いにはお茶の味にまで影響を及ぼす。

壁に貼られた、黒くペイントされた木製のデコレーション。例えばこれが半透明や白だったら、白い壁に貼り付けられているだけ位で調度良いかもしれないが、真っ黒な物を180度対象の白い壁に付けた為、”ただ貼りました” 感が出ていて、安っぽい。また、ペッタリと貼り付けられているので、影が出来ず立体感が無い。

これを書いていたら、”コ~ン” という音が。床を見ると、驚く事に一つ剥がれ落ちている。
で、5分後にまた一つ。その5分後にまた一つ・・・
そういう仕掛けなのかと思ったぐらい。



こんな弱そうな両面テープで貼り付けているところが、とても安易。


この店のグランドオープン前に見た時からから気になっていたが、背もたれが真っ直ぐに落ち着いていない。中身のクッションが表面のナイロン製のファブリックに引っ張られて、カーブしている。仕立てが悪い。クッションが薄すぎるせいもある。


マジックテープで留めようとしたらしいが、クッション側にテープが付いていないので、何もマジックは起きない。当たり前。


表面にスムーズなペイントを施した黒い椅子など、パブリックスペースで使うべきではない。ズボンの後ろポケットの金具や、机の脚などから毎日の様に攻撃を受ける。下地の木が黒い訳では無いし、ステインした物でもないので木に塗料は染み込んでいない。なので、ご覧の通り。あちこちペンキが削られている。下地の木が白っぽいため、大変目立ってしまう。




ここがとてもカジュアルで、安いお茶をちょっとだけ気取った感じの雰囲気で出す、というだけのコンセプトならば問題は無いが、そういうブランドイメージでも、場所でもない。ちょっと詰めが甘い気がした。

散々文句を言ったけど、腰までの低めの壁や、暖炉が付いている大きな柱などに上手に囲まれていて、心地良いセミ・プライベート感があった。お茶も、自分に合った味の物を見つけてみたいとも思えたし。


そして何より、これこれ!







2013年3月18日月曜日

久しぶりに

先週の木曜日に、LAで会食があった。日、英、中国語を堪能に話し、富豪のお友達が多いこの才女(Mさん)をビバリーヒルズへ迎えに。時々一緒に仕事をするこの人とは、年に数回会ってお互いの仕事の近況報告をする。二人とも国外に出ている時が多くなかなか会えなかったので、随分久しぶりに会った。

午後4時の時点で、仕事帰りの車で上りも下りも大渋滞。
”ちゃんと仕事してるのか、この人たち?”
と思いながら、その渋滞の中にいる、ミラーに映った自分を見て納得。

”きっとしてない...”





ビバリーヒルズは、大通りは車が多く空気が悪い印象を受ける。でも、一本細い道に入ると急に車の気配が消え、静かな町並みがスッと顔を見せるずる賢い場所だ。



”美味しい物を食べようよ。韓国料理で美味しい所知ってるよ。AのレストランはXXXXが凄く美味しくて、BのレストランはXXXXが凄く美味しいの。私はどっちでもいいよ。どっちがいい?”

という早口の質問に、どちらも美味しいという事だったので、

”じゃ、Bに行こう。”

と言い車を発進させて暫くすると、

”AじゃなくてBなの?え、何でAじゃないの? もう一度言うよ、AはXXXXが美味しくて、BはXXXXが美味しいの。どっちがいい? あ、Cっていう店もあるんだよ、そこはね・・・”

あのねー・・・最初からAへ行きたいって言えばいいじゃん・・・
しかもCまで出てきた。これは収拾が付かなくなる。

”A・・・うん、今日はAへ行こう。Aに行ってみたいねー”

と、Cを何とか阻止して、誘導尋問に素直に従ってAの店へ。

ピンクのカブや軽く茹でた白菜で、茹で豚や甘辛く煮たイカなどを巻いて食べる家庭料理だそうだ。これはとても美味しかった。


こっちは、少し甘めの麺を沢山の野菜と混ぜて食べる料理。野菜の摂取量がとても多い韓国人ならでは、という感じ。美味しかったが、もう少し甘くなくても良いかな。


この他にも、紫色のご飯に豆腐入りのスープを混ぜて食べる料理など、とても二人では食べきれない量をオーダーし、いろいろとビジネスの話をしながら動けない程食べた。

”ここデザートないんだよねー。でも甘い物とか食べないでしょ?”

”いや、実は俺、チョコレートとか甘いもの大好き。”

という短い会話をした後、席が空くのを待っている大勢の人達を掻き分けながらレストランを出て、車でビバリーヒルズへ戻る途中、

”ウッチーが甘い物好きだったらねー、美味しいジェラート屋さんがあるんだけどねー。”

いや・・・だからさ・・・甘いもの大好きだって、さっき話したばかりじゃん・・・

きっと頭の回転が速すぎて、下らない会話は弾き飛ばされてしまうに違いない、と良心的に解釈する事にして、もう一度。今度こそ、彼女の脳みその小さな隙間に挟まります様に、と祈りながら、

”いや、実は俺、チョコレートとか甘いもの大好き。”

今度は成功!

で、とても濃厚なジェラートの店へ。

”私はバニラを頼もうかな” と言っていたので、他の種類を頼んでおけばシェア出来ると思って
カプチーノ、ワインレーズン、レモンバニラの3段重ねを。

”じゃ、私はあったかいコーヒーにバニラを乗せて。”

え、何その大人っぽいの?!これじゃ、まるで俺が女子じゃん・・・。




結局、全て一人で食べた後にMさんを送り届けて家路に。




”私の友達とかに話してるんだから、ちゃんとお洒落な生活しててよー。”
とは言われたものの、最近仕事が忙しくて、適当な服を着て、オフィスと家の往復ばかり。飲みに行っても、日本の居酒屋とか・・・
確かに、これはまずい。感覚という針がもしあるのなら、きっと今の僕の針の先は、ドラエモンの手、又は、”孫の手”の反対側についている肩たたき用のボールぐらい丸まっているに違いない。


という事で、次の日の午前中は前にもブログに書いたPortola Coffee Lab (リンク)で仕事をしている振りをしてみた。暫く来ていないうちに、新しいティーカフェも出来ていた。カジュアルで飾り過ぎないここの雰囲気は結構好き。


カプチーノを頼み、お洒落っぽい雑誌を眺めてみたり、


好きな家具が並ぶ店をちょっと覗いてみたり。





今は月曜の朝。またここに来て、この記事を書いている。



しかしこのカップ、面白いけどなかなか飲みにくい。




2013年3月1日金曜日

ビジネストリップ to Taipei

2泊3日、いや、実際には飛行機の行き帰りで一泊ずつしているので、4泊3日の台湾出張から一昨日帰って来た。5年ぶりの台湾。

LAから香港まで15時間。乗り継いで台湾へ。待ち時間も入れると17,18時間の長旅。
香港インターナショナルエアポートは、イギリスの著名な建築設計会社、Foster + Partners (LINK) が手がけた物。通常、ターミナルはただでさえ長いのに天井に直線を使った空港が多いが、ここは三角形の幾何学的な模様が作り出すアーチの中を歩く。長さを少し忘れさせてくれる上に、幾つもの尖った形が作り出す柔らかいアーチが整然とした感覚を与えてくれる。




台湾に着いたら、取引先の人にまずランチへ連れて行ってもらった。
1日200食限定のラーメン?うどん?小さな店内は満席で、昼過ぎにはいつも売り切れになるらしい。味は、素朴でさっぱりしていてまぁまぁ美味しかった。



ホテルからの風景。南の島なので、やしの木が街中に目立つ。



ちょっと休んでから、上海から来たお客さんも交えて夜の会食。名前は覚えていないが、有名店らしい。ここを訪れた台湾の有名人らしき人の写真が沢山貼ってあったり、日本人を乗せた観光バスが泊まったりしていた。味は、まぁまぁ。



その後、ランタン祭りをちょっと見学。旧正月の後の祭りで、これが一番盛り上がると言っていた。






なぜかドラエモンやゲームのキャラクターなど、あまり歴史と関係の無いランタンばかりで、正直 ”う~ん・・・” という感じ。もっと歴史上の人物や建物のランタンを作れば良いのに、と思いながら横を見ると、上海から来たお客さんも同じ表情。




次の日は朝からミーティング。しかしここはスクーターが多い。物凄い多い。いや、本当に凄い多い!信号待ちしている時など、まるでバイクレースのスタート地点の様。よく接触して事故を起こさないな、と感心してしまった。国が狭いので、車で街中を移動すると駐車に困る事が多い、と言っていた。


警察もスクーター。丸い赤と青のライトがかわいい。



夜は山の上の温泉街、北投温泉へ連れて行ってもらった。いや、連れて行かれた。そこで食べた海鮮のぞうすいはとても美味しかった。が、



その後、温泉へ。

日本で高校を卒業後、アメリカに来てしまったので、最後に温泉に入ったのは高校の卒業旅行でスキーに行った時。当時は普通にタオルを巻いて隠したまま湯船に入っていた。アメリカではスパの様な所に行ったら必ず水着は着ている。しかしここは台湾。う~ん、嫌な予感が。


的中・・・。更衣室でどんどん脱ぎだす二人の台湾人と一人の中国人。露天風呂へ向うと、今まで見たことの無い刺激的な風景。あっちにも、こっちにも、特に興味は無い上に、出来れば見たくない物が沢山。人と話をする時に、あれだけジッと目だけを見て会話したのは初めてかも知れない。皮肉にもお湯は最高。秋田の玉川温泉とここにしかこの特別なお湯は出ないらしく、とても貴重らしい。が、正直それどころではなかった。

昨日会ったばかりの人も交えて、いきなり裸の付き合い・・・ちょっと、無理。早く出たい。

”いつも、ここに来たらどれ位いるんですか?20-30分?” と英語で聞くと、

”うーん、2ー3時間です。でも、今日はお疲れでしょうから1時間半ぐらいにしておきましょう。”

”。。。。。。”

1時間半も、この地獄の様な風景に囲まれた天国の様な湯に浸かっていろと・・・?

”あそこにサウナもあるから、行って来たらどうですか?” と5、6回薦められたが、そこは4畳程の閉ざされた部屋。中には一糸まとわぬ裸の男たちが10人程。

無理です・・・。

浴槽の淵に座りながら、ふと横を見ると、50歳程のおじさんが一人仰向けで寝そべっている。で、なぜかそのまま両足を空高く上げ、右に振ったり、左に振ったり。

おじさん・・・それ反則・・・。


出る頃にはドッと疲れを感じながらも、開放されてホッとしていた。
人生の半分以上をアメリカで過ごしてしまった僕には、ちょっと厳しい環境だった。


最終日の朝、ホテルの朝食は中華料理のバイキングか、和食+洋食のバイキングを選べた。前日は中華料理のバイキングへ行き、種類が少ない上に、半分洋食だったのでがっかりしていた。”折角台湾にいるのに、和食や洋食じゃなー” と思いながらも、ちょっとレストランを覗いて見ると、びっくり。中華のバイキングなんて比じゃない程の豪華さ。きっと、海外からの観光客は食べなれた物を食べるから、集客用に豪華にしているのだろう。

普段はパンとヨーグルトぐらいしか朝は食べないのに、この日はご飯、味噌汁、なっとうx3皿、大根サラダなどを食べた後、洋食へ。

クロワッサン、フレンチトースト、ベーコン、ソーセージ、ポテト、グレープフルーツジュースにコーヒー。

生き返った気がした。



去年日本に長く帰っていた時にも思ったが、いくら美味しい和食でも、そればかり食べていると飽きてしまいアメリカのハンバーガーの様な大胆な味が食べたくなる。中華料理も同じだった。

最後に、お土産にもらったアーモンド入りのちょっと甘い豚肉のスナックをさっきオフィスで開けてみた。

誰か、ちゃんと日本語に翻訳してあげて・・・”アーモンド豚肉ペーパー” って・・・


原材料の”昔ながらの醤油” の原材料が気になって、今晩はなかなか寝付けなさそうだ。

関連ブログ記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...