あとちょうど一か月でこの国での生活も25年目に入る事だし、ものを書くのは昔から好きなので、これからは、この25年間で体験した事でも気が向くままに書いてみようと思う。
19歳になる6日前の5月、シカゴに渡米した。アメリカに来た当時の事は、2008年にこのブログに書いた記事があった様だ。
始めの一歩
http://hirokiuchidadesignlab.blogspot.com/2008/08/blog-post_30.html
始めの一歩 - 2
http://hirokiuchidadesignlab.blogspot.com/2008/09/blog-post.html
1994-5年。シカゴのゲイタウンから1ブロック離れた古いレンガ造りのアパートの3階に、体長60CM程のシェットランド・シープ・ドッグと、体長2CM程の多くのゴキブリ達と一緒に住んでいた。夜寝る時は、腹の上にはいつも犬の頭、顔の上には時々ゴキブリ、という状態。部屋は6畳+キッチン・バス。アメリカではFUTONと呼ばれる、厚めの体育マットの様な敷布団を部屋の角に敷き、その横に製図用の机を置くと、殆どもう隙間はなかった。
Google Mapから取った、当時住んでいたアパート。
誰が撮ったのかは覚えていないが、そのアパート内で撮った写真を見つけた。
上の階はアジア人のニューハーフで、隣の部屋は白人のゲイカップルが住んでいた。
ある日ゴミを出しに、キッチンに付いている建物の裏へと続く扉を開けると、目の前に大きな女が立っていた。6cm程ありそうな赤いヒールは、黒いレースのミニスカートから伸びた筋肉質な足の先を申し訳なさそうに包み、横に広がったパーマがかかった髪の毛は、あごひげが生えた、ただでさえ大きな顔をさらに大きく見せ、真っ赤な口紅は小学生の時に恐れた、口裂け女を彷彿させた。グローブの様な両手で、あふれんばかりのコンドームが入った大きなかごを抱えていたその女は、ただのお隣さん。
そこは、女性にとっては比較的安全なエリアな上に、クラブ、シアター等、若者文化が発展していた地域だったので、知り合いの多くは皆その辺りに住んでいた。
ただ、男にとっては少々危険な時もある。
夜遅くにバスで学校から帰宅した時など、時々道の反対側で、自分と全く同じ動きをする男に出会った。自転車に乗っている奴は速いのでたちが悪い。”つけられている” と感じた時は、試しに何気に足を止めてみる。向こうも止まる。歩き出すと、向こうも自転車を漕ぎ出す。住んでいる家を知られたくないので、自分のアパートに逃げ込むわけにはいかない。走っても勝ち目はない。当時は携帯もないので、誰にも連絡できない。取り敢えず明るい通りへ向かい、何度も角を曲がり、最後は必死で走ってアパートの入口に着き、完全にまいたかどうか確認しようと後ろを見ると、50メートル程離れた所から、その男がジッと睨んでいた。
次回、シカゴ警察 会員番号827番
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