2015年4月7日火曜日

アメリカ体験記 - 2: シカゴ警察 会員番号827番

シカゴと言えば、ブルースとジャズ。有名なブルースバーやジャズバーがあり、その中でも1900年代初頭、禁酒時代のギャングとして名高いアル・カポネが足繁く通ったとも言われるグリーン・ミル (Green Mill)はジャズバーの老舗だ。店内の写真リンク  

それは、ダウンタウンから車で30分程北上した、当時はまだ少し寂れていたエリアにあった。古ぼけたレンガ造りの建物の壁に、電飾に囲まれた緑色の、Green Mill の文字。大学3年のある金曜日、同じサッカーチームで仲の良かった山崎(仮名)と、女友達2人を連れて、夜9時過ぎに山崎の新車カマロで向かった。

薄暗いバーの中には歴史を感じさせる長い木製のバーカウンター。その奥に丸いブース席があり、一番奥に決して大きくはないステージがある。白人と黒人で埋め尽くされた店内で、頭と目が黒いアジア人は自分達だけ。シカゴでは決して珍しくない状況だったし、そのマイノリティー感が自分のアイデンティティーを築き上げてくれ、日常茶飯事の差別すら、周りの人とは違う事への特別感として "アメリカで生活している" という実感を常に与えてくれる刺激だった。

2時間程ピアノ、ギター、ベース、グラスの音と人々の熱気を堪能し、バーを後にした。店の前は、バーから溢れた人と、今から飲みに行く人、迎えに来た車や駐車スペースを探す車でごった返していた。山崎が車を取りに行っている間、3人は素人ながらの音楽の感想などを話しながら山崎の迎えを待った。

”このまま山崎が迎えに来なくても楽しいかな~” 等、悪い妄想をしながら。

残念ながら、5分程で彼の黒い、2ドアのスポーツカーが到着。女性二人を後部座席へ乗せる為、大きなドアを開け、前の椅子を倒す。

その後、自分も助手席に乗り込もうとした時に事件は起きた。

”コツン”

開いた助手席の扉の先が、隣に停まっていた、大き目の白いピックアップトラックの運転席のドアに軽くぶつかった。本当に軽く、”コツン” と。

すると、ガチャ! と運転席のドアが開き、中から40代程のかなり体格の良いデカい白人が出て来た。

と同時に、いきなり顔面めがけて右手で殴りかかって来たではないか!

当時はまだ俊敏な23歳。ちょっと歩いたら足の筋をおかしくしてしまう、現在の42歳の初老とは訳が違う。サッと身を引き後ろに避けると、その拳はブンッと喉仏をかすめた。二人の間には山崎の新車の大きな黒いドア。

”ドアを傷つけたらいけない。” こんなデカい男に対し殴り返す気など全くなかったが、取り敢えずドアを閉め、二人の間の壁を失くした。

人類皆兄弟。”精一杯の笑顔で謝れば話は通じる” と思った瞬間、いきなり背後から両腕を取られ、山崎の車の後ろに引きずられ、トランクの上にうつ伏せに押し付けられた。


やばい、この男の仲間かー!? 絶対絶命!







”ガチャリ、ガチャリ”



ん...?



次回、続シカゴ警察 会員番号827番


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