車の騒音で満たされたサンタモニカ・ブルバードから一歩中に入ると、相変わらず緑の多い閑静な住宅街が広がる。
ランチをしながらミーティングをする事になったが、前回のMさんとしたディナーの教訓から、行き先は僕が決めておいた(前回の記事 久しぶりに)。
ハリウッドにあるCheeboというレストランへ。ここのパスタの茹で方は上手で、ピザもとても美味しい。
シュリンプの入ったパスタ、プロシュートのピザ、ツナとアンチョビのサラダをフルサイズで頼むと、サーバーの人が ”え、そんなに沢山?” という顔を一瞬したが、”余ったら持って帰ればいいし” と取り合えず言っておいた。
目の前に美味しそうな食事が一気に運ばれて来たが、仕事の話をしなければ・・・。よし、ここはいつもの方法で。そう、まずはMさんに一生懸命しゃべらせて、そのすきに一生懸命聞きながら考えている振りをして食べる。上手い!、そして美味い!
一通り食べ終えてから、
”ちょと、絵を描く紙持ってない?”
ふと見ると目の前にクレヨンが入ったビンが。思い出した。このレストランの紙のテーブルクロスは落書きが出来る様になっているんだった。
以前ここにアシスタントの子達と来た時は、ドラエモンの描き方で議論をしたが(関連記事リンク)、今回はそこに、なかなか大き目のプロジェクトのアイデアが描かれた。
余ったら持って帰る予定だった食事を全て2つの胃袋に収納し、2時間半後に手ぶらでレストランを後にした。
外は快晴。いつもの様に湿度は低く、ゆっくりと風が流れている。
レンガ造りの建物の中にある、こじんまりとしたカフェでミーティングの続きを。
午後4時にミーティングを終了しMさんを家まで送ったが、この時間は大渋滞の時間。片道5-6車線もある高速道路が渋滞で動かなくなる。
と言う事で、以前借りていたオフィスの隣にあるLos Angeles County Museum of Art (LACMA)へ久しぶりに行ってみた。
”こういうオジサン、たまにいるよなー ” と思いながら隣の公園にいた熊の横を通り過ぎ、ミュージアムへ。
デザインをする時、感覚と思考のバランスをとる事にしている。人間の周りを包み込む環境のデザインをするのに、頭で考えた事だけを形にしても訪れた人に何も心で感じてもらえる事はないと思っている。反対に、絵や彫刻ではないので、感情的になり過ぎても建物は成立しない。ここ暫くデザインの作業から離れていたので、まずは自分の気持ちの部分を満たし、それを表現出来る状態までまた持って行くのはなかなか大変な作業。
やっぱり普段から色々と感じていないと駄目だな、とつくづく思った。
今回は、色彩が大きな意味を持つアートから色を取り除いてやる、という意地悪をしてみた。その物が、色ではなく形、光、影で表現している物を見てみたかった。
色々な立体を見た後、青い壁に書かれた説明書きのフラット感に目を惹かれた。
この美術館は、日本では関西国際空港をデザインしたイタリア生まれの建築家、Renzo Piano(レンゾ・ピアノ)氏が手がけたもの。細かなディテールや線とボリュームのプロポーションが素晴らしい。
写真を撮っていると、ジャズの生演奏が始まった。大勢の人が、ワインやビールを飲みながら芝生の上に転がり、気持ちの良い金曜日の夕暮れを過ごしている。様々な人種の人達が緑の絨毯の上で音楽とアルコールに酔いしれているいるこういう風景は、アメリカらしくてとても好きだ。
街灯を沢山並べたインスタレーション。街灯だけで小さな街が形成されているみたいだ。
余計な物を視界に入れたくない時は、上を見上げるのが一番良い。
時間は午後7時過ぎ。3時間はあっという間に過ぎていた。
金曜日は皆3,4時から帰宅し出すので、少しは渋滞もましになった頃だろうと思い車へと歩き出した。
大きな石のインスタレーション。この下を通る時、恐怖心が生まれるかと思ったが、あまりにも石が大き過ぎて逆に非現実的に感じられ特に怖くはなかった。これが半分の大きさだったら、逆に怖かったと思う。
コンクリートの質感が心地よい。
砂とスティールとコンクリート。
帰り道、目の前から大きな月が昇ってきた。大きな月を写真で大きく表現するのはいつも難しい。
最後に、ジャズを聴きながらも考えていたのだが、このズボンの穴は、いつ出来たのだろうか?
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