2012年8月10日金曜日

昭和の建物

日本を訪れる度に、素敵な昭和の建物を目にする。

この前日本で見た幾つかを紹介。

まずは銀座にある、2007年に亡くなられた黒川紀章氏作の中銀カプセルタワー(竣工1972年)。一つ一つがカプセルルームになっている。お互いのブロックは実際には重なり合ってはいない。それぞれが孤立した形で、中心のコアからキャンティレバー(片持ち梁)になっている。シカゴで建築を勉強していた時にもたまに授業で取り上げられていたのを覚えている。建築的にも面白いが、アメリカ人には ”カプセルに住む” という考え方が衝撃的らしい。ただ、検索して画像を見る限り、中は未来的で快適にすら見える(Google 画像リンク)。ここはホテルではなく、集合住宅。ビジネス上のセカンドハウスなどとして利用される事がおおかったそう。老朽化やアスベストの問題などで、既に取り壊しが決まっているのが残念。




次は、千代田区の竹橋駅前にあるパレスサイドビルディング。毎日新聞社系列の、株式会社毎日ビルディングが運営している。設計は日建設計で、竣工は1966年。建物自体の重さを外壁で支えない、カーテンウォールシステム。こうする事により、採光量が増え、外観にも透明感が増すので建物が軽く見える。今ではよく目にする様になったが、基は1920年代にドイツのWalter Gropius (ウォルター・グロピアス)が推し進めたスタイル。


ちょっと詳細が見えにくいが、外壁に見える縦の線は雨どいになっており、上から落ちて来る水をそれぞれの階に受け渡して行く。入り口上部の大きなキャノピーは、傘の様にも見える。縦に伸びる線を主張する白い塔と、横に伸びる線を主張する黒い箱が、とても心地よいコントラストをかもし出している。



次は、すぐ傍の北の丸公園内にある東京国立近代美術館(1952年竣工)。日本で最初の国立美術館。設計は千代田区の帝国劇場もデザインした谷口吉郎氏。窓の少ない、コンクリート造りの重々しい建物。


土曜日に行ったのだか、休館日で中に入れず・・・



この設計者のご子息が、上野の法隆寺宝物館(下の写真)やニューヨーク近代美術館新館を設計された、あの有名な谷口吉生氏。装飾ではなく、線や面のバランスだけで作り上げられた建物を見る度、設計者の感性が伺えてため息が出る。



最後に、今回泊まったホテルから見えた昭和の象徴、1958年竣工の東京タワー。正式名称は日本電波塔。設計は構造学者の内藤多仲氏と日建設計。

1961年頃の東京タワー

生まれは東京だが、育ったのは横浜なので、子供の頃は 東京タワーがある所=東京 というイメージがとてもあった気がする。素直に上に伸びるシンプルで綺麗な形状。





夕暮れの東京タワー 


富士山と東京タワー 


月と東京タワー


青い東京タワー


何でも近代化して、日本ではなくても見られる様なビルが増えて行く中、昭和の香りが残る建造物は見ていてホッとする。それは多分、今よく目にする奇抜で主張が強すぎるビルや、ガラスで覆われた無機質なビルとは違い、そこに佇み、静かに落ち着いた威厳をかもし出しているからだろう。

あとは、ただの僕の年齢的な理由・・・17歳まで昭和だったからな。



最後に、品川で行った魚専門の居酒屋で、可愛いサーバーの子が出してくれた笑顔のビールとお通しの魚。


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