今日はThanksgiving Day。アメリカの殆どの会社は4連休。
朝から雨が振っている。
TVを付けると、ニュースではインドのムンバイで起きている同時多発テロの映像。
インターネットの写真では、どこかの建物の床に出来た血溜りと、頭からつま先まで白い布で覆われて地面に並べられた死体。
7年前に起きたNYの同時多発テロを思い出した。あの1日前、ワールドトレードセンターの最上階に近い階にあったAONコーポレーションの改装プロジェクトが始まる為、当時勤めていたSOMのシカゴオフィスで机に腰掛けながら、同僚とAONオフィス内の写真を見てデザインについて話し合っていた。
長細い長方形の窓の外に、マンハッタンが広がっていた。
その次の日の朝早く、SOMのNYオフィスからAONを視察に行ったプロジェクトマネージャーは、そのまま帰って来る事はなかった。
シカゴは次に狙われると言う事で、ダウンタウンは閉鎖され、
”慌てないで非常階段を使用してビルから外に出て、町から離れて下さい。”
と社内放送が流れ、25階から階段を使って外に出、タクシーでダウンタウン内にあった家に戻り、車で郊外の友人宅へ避難した。
シカゴの町中には半旗が掲げられた。
ビルから60度程の角度で突き出しているポールの半分の所で止められたアメリカの国旗。
悲しみに絶えながら、胸を張って立っている人の様に見えた。
仕事帰りのバスの中からそれらを見ながら、どうしても感情的にならずにはいられなかった。
それから4年さかのぼり、1997年、シカゴで学校を卒業後、Gary Lee Partnersに就職したが保守的な白人社会の中で仕事も言葉もついて行けなく、ただ黙って机に座っているだけだった頃、当時50歳手前だった副社長のスコットにランチをしながら色々話を聞いてもらった。
彼はいつも何事にも動じず、細かい事も気にしない。
彼に尋ねてみた
”どうして貴方はいつもそんな風にドシッと構えて居れるのですか?”
彼は言った
”どうしてかって?私はベトナム戦争に行ったんだよ。昨日まで笑っていた友人達が、次の日、目の前で血を流して死んだ。それに比べれば、大抵の事は屁とも思わないよ。”
一昨日、ある仕事関係の人と夕飯を共にした。僕より7歳年上で、男前な上に礼儀正しいその人と初めて会った時、出来すぎた話し方や考え方を聞いてビジネス用の話方や内容だなと思った。
きっとお酒を飲みながらカジュアルに話したら、色々と打ち解けてくだらない話も出てくるだろうと思い,夕食を共にしてもらった。
食事もお酒も進んだ頃、その人がある会話の途中にさりげなく言った。
”僕、8年前に奥さんを病気でなくしてるんですよ。”
自分の目の前で, 一番近くにいた人が急に動かなくなる。それを機に、いろいろな価値観が変わったと言われた。そして、それが僕が抱いていた彼に対する多くの疑問を一瞬で解決した。
今は午前11時半。
何か今日はあまり活動的な気分じゃない。
少し沈んだ気持ちとは裏腹に、求めてもいないのに窓の外には日がさして来た。
Hiroki
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