2008年10月23日木曜日

隠れ家

今日、外から帰って来る時にビルのメインテナンスの人たちが大きな白い棚を粗大ごみとして外に出しているのを見た。
”Are you guys throwing them out? (え?それ捨てちゃうの?)”
と聞くと、
”You want them? There are more . (欲しいのか?もっとあるぞ。)

まだ綺麗だったので、捨てててしまうにはもったいない。しかし、もらっても自分のオフィスの何処にこんなに大きな棚を置けるか検討もつかない。取り敢えず彼らと一緒にエレベーターに乗り、残りの棚を見に行った。
どうやら、我々のオフィスの2つ隣のテナントが引っ越したらしく、これらの棚の処分を頼まれたらしい。
状態は良好。捨てるのはもったいない、メンテナンスのおじさん達は一階の粗大ごみ置き場まで運ぶ手間が省けるので、”You want it? You want it?"としきりに聞いてくる。

どうするのか分からないまま、流れで2つもらう事にした。

3分もしないうちに、大きな棚が二つ、オフィスの僕の部屋に運ばれて来た。しかし、棚の枠は運ばれて来たが、中の棚板が無い。
”あれ?棚板は?”
と聞くと
”もう捨てちゃったよ。欲しいなら今日中に行かないと、ゴミ屋がもってっちゃうぞ!”

棚板が無ければただの大きな枠・・・意味が無い。
急いでエレベーターで下に降り、中型トラックのコンテナ程ある鉄の箱に入り、その他の粗大ゴミを掻き分けて棚板を引っ張り出してきた。生まれて初めてゴミ箱の中に入った。


さて、もらったは良いが、どうしよう。オフィスの中に建築雑誌が溢れていたので、本棚は欲しかった。でも、これらはかなり大きい。高さは7フィート(約210CM)。

普通に使うのはつまらない。2つの棚を向い合わせに置き、間に入った時にひらめいた。

”前から欲しかった隠れ家を作ろう!”

仕事中のTomoeさんに協力を要請し(こうしていつも皆に迷惑を掛ける)、まずは棚の化粧から。
普通は壁に背中をつけて立たせる為、人目につかない本棚の背中には仕上げ材が使われていない場合が多い。以前オフィスのキッチンの棚の表面を化粧する為に買った、木目のプリントがされたシートを取り出し、側面と背中に貼った。このシート、よく見ないと木目がプリントだとは分からない。15分程で2つの棚は生まれ変わった。

次に、自分の机に戻って仕事を始めたTomoeさんに再び協力を要請。
プリンターやサーバーなどの移動を手伝ってもらい、自分の机の横にスペースを作った。

そして、その出来上がったスペースに棚をL字型に並べ、中にお気に入りのレザーのベンチを入れ、
棚と壁にドリルでねじを差込み、そこにワイアーを張りカーテンレールを作った。

隣の部屋から、オフィスの廊下の壁に付けた物と同じモコモコの布を引っ張り出し、レールに取り付け、出入り口を作成。

最後に、自分の机で仕事をしていたTomoeさんに更なる協力を要請。
僕の大きなテーブルを移動させて完成!

雑誌を運び込み、棚に入れた。
ライトは、昔シカゴのGary Lee Partnersで働いていた際、イタリアの照明器具会社のアルテミディのショールームに呼ばれ、20人程で訪れた際にお土産としてもらったライト。この$200もするライトを一人に一つづつ・・・。とても太っ腹。





こういう小さなスペースは、実はとても落ち着けて、ちょっと一人で考え事をしたい時や、デザインする時などに重宝する。一日中この中にいるとしたら問題だが、いつもと違う雰囲気に一瞬で入り込めるところが面白い。

オフィスは仕事をするところ。しかし、実際、仕事机とコンピューターさえ与えれば人は効率良く仕事をするのだろうか。毎日毎日通うオフィス。他人と一緒に働くオフィス。ちょっとした居心地の良い空間は、仕事の効率を上げ、生産性の向上に繋がる事は間違いない。

最後にTomoeさんに言われた。

”内田さん、そんなに私たちから離れたいんですか!?”

Hiroki

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